「本当、めちゃめちゃ丸くなったよなぁ」
「あーね、分かるわぁ」
「ケンカ王子の話?」
「おう。中学ん時とは比べもんにならんくらい」
「全然違ぇよな」
「お前ら同中だっけ」
「そうだよ」
「まあね」
「そんなヤバかったの?今でもまあまあだと思うけど」
「優しい方だよ、まだまだ」
「あの頃に比べるとな、全然」
「ほおん…。やっぱあのいつも一緒にいる片割れくんのおかげなんかなぁ」
「それさぁ、確かにそうなんだけど」
「一番ヤバい時あったよな」
「なになに?」
「ケンカ王子があの片割れくん怒らせちゃって」
「しかも仲直りしないまま風邪だかインフルだかで一週間片割れくんが学校来なくて」
「…それで?」
「不機嫌どころじゃねぇよ。荒れに荒れてさ、一体どこで引っ掛けて来たんだか…遂には」
「授業中、校庭にバイクの軍団が来たんだよな」
「漫画かよ」
「しかもその集団、一人で全員ぶっ倒してた」
「無傷で」
「………フィクションだよな?」
「………」
「………」
「えっ、何か言って!?」
「まぁ、その騒動のあとやっと片割れくんが登校してきて、二人はいつの間にか仲直りしてて」
「今に至る、というわけだ」
「めちゃめちゃはしょったな…。てかさ、ということはさ」
「あの二人を引き離すな」
「というかケンカ王子から彼を引き離すな、というのが暗黙のルールだ」
「あー、なるほど…。お前らがこないだ必死だったワケだ…」
「あと片割れくんが他校のチンピラに絡まれた時もヤバかったぜ」
「可哀想だったよな、チンピラが。聞く?」
「い、いや、もういいよ。分かったから」
「まだまだ色々あんのに」
「聞かないんだぁ」
「いいっての。今は幸せそうだし…。触らんとこ」
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