mitei ところできみは何色ですか | ナノ


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次は何の精でしょうね。まぁ何でもいいんだけどな。
長くても月に一回は髪の色が変わる彼。そろそろかな。別に楽しみになんてしてないんだけどね。

「とーいろくん」

「おはざーす」

「おはようございまーす」

「ふむ…」

ふうむ。これはこれは、何というか。

「似合ってるっしょ」

「ううん。肯定するのが悔しいが…」

似合ってる。多分今までで一番。だって瞳の色と同じだもん。
風にさらりと揺れるのは、グレーの髪だった。アッシュグレーっていうらしい。何か格好良い名前だなぁ。
こないだの白髪よりも暗くて、いつかの黒髪よりもずっと明るい。襟足も切ったのか、ちょっとさっぱりした印象だ。

「ねぇ格好良い?惚れた?」

「俺はともかく、ファンクラブが騒ぎそう」

「きみは?」

「で、本日は何の精ですか」

「スルーも慣れたもんだな。何の、ねぇ。何がいいかな」

「思いつかんのかい」

「うーん…。あ、じゃあこうしよう。寝る時の十色くんのスウェットの精」

「却下」

「いや、もうそういうことだからさ。却下は却下」

「そんな精ついてる部屋着やだよ」

「眠る時もずうっと一緒ってことじゃん?てことで今日から添い寝してい?」

「何でいいと思ったん?」

「スウェットの精だからさ」

「………部屋着変えるか」

ふうと溜め息を吐いて玄関先で漸く靴を履いた俺はスウェットの精と大学へ向かう。それにしてもスウェットの精て。
海苔とか白米から今度は衣類になった。庶民的。最初の桜の精みたいなファンタジックな感じはどこ行ったんだ。

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