mitei 藤倉くんはちょっとおかしい7 | ナノ


▼ 5.澤くんの不安

あの謎のメッセージから三日くらい経った頃。
学校に着くと何だかいつもと雰囲気が違っていた。

何ていうか…全体的にどんよりしている?気がする…?
ちらりと廊下を見ると、あちこちで泣いたり俯いたり、慰めあっている子達の姿が多く見えた。

一体何なんだ?
まさか、あいつが学校来てないから?

でも前だって、何日か来なかったことあったけどこんな雰囲気にはなってなかった。
じゃあ、一体何があったっていうんだろう。

頭を悩ませるも、その真相は教室に着くとすぐに判明してしまった。

「………え。藤倉が、転校?」

「あくまで噂だけどな。ちょっと職員室の前通ったら聞こえてきたんだよ。親の都合がーとかなんとかって」

「だからかぁ。ファンクラブとかみーんなすっげぇ落ち込んでやんの!まーホントかどうか信じ難いけどなぁ」

「ふじくらが、転校…」

「おい澤?大丈夫かー?」

「てん、こう…」

「おーい!まだそうだって決まったわけじゃあないんだからな!本人に聞くまで決めつけんなよ!?」

「そうだぞ!ただの勘違いかもしんねぇし!あくまで噂だかんな!噂!」

「お、おう…。そうだな。そう、だよな」

予想だにしなかった単語に思わず動揺してしまった。視界がぐらぐらする。

足元の地面が一気に崩れ去ったようなおかしな感覚がして、その後の授業の内容なんて一ミリも頭に入ってこなかった。

てんこう…転校?
そんなこと一言も聞いてない。

確かにただの噂かもしれない。
本人に確認するまで決めつけるのは良くないのも分かってる。

だけど相も変わらず、スマホはあいつからのメッセージを受け取らない。
俺からのメッセージも届けてくれない。

なんで、どうして。
安心…できるわけないじゃんか。

分かってるつもりでも、心はどうしたって理解してくれないんだ。

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