mitei 笑ってくれたら | ナノ


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選んだ理由は本当に単純で、時給が良かったから。あと彼の家にも近くて、時間にも融通が効く。

初めは仕事内容に躊躇ってしまったが、店長曰く何故かおれが入るなら時給を始めに提示した額よりプラスしてくれるとのことで、ここに決めた。まぁ理由は分からなくもないが、興味もないので濁しておく。

それにしても。

あぁ、今日も賑やかだなぁ。
ホント、キレイな光に相変わらずよく群がりやがる。

毎日毎日飽きないな。
もういっそのこと…なんて、彼の意思を無視した欲は鍵をかけて厳重にしまっておこう。

ん…?
あれ、ちょっと待て。この方向って…。

「ちょっとこっち手伝ってー!」

「…はい」

店の人に呼ばれ、おれは音を拾いきれなかった。あとさすがにバイト中に位置までは確認できなくて。

だからまぁ、油断した。

カランカランと鳴る扉に機械のごとく反応し、接客すべく振り返ったおれは一瞬、軽く目を見開いてしまった。そして彼も。

「らっしゃいませー…」

「あ」

「あ」

おれよりもずっと大きく目を見開いた秀は相変わらずおもしろ…かわいかった。

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