mitei いちにのさんしぃ | ナノ


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「この中に一人、俺にラブレターを送った奴がいる!!!」

「は?」

「どうしたんだ?急に」

「今日も元気そうだねぇ」

ここは食堂、それも昼休みではなく授業の合間とあって人もまばらだ。
そんな中友人たちを集め高らかに宣言した俺の手には、とある封筒が握られていた。

「これは今朝、俺のロッカーに入れられていたものです」

「物好きなやつもいるんだな」

「それマジでラブレターなのか?中身はちゃんと確認したか?宛先とか」

「間違えて入れちゃったのかもよー?」

「失礼なっ!ちゃんと俺宛だよ!内容はプライバシーに配慮して言えないけど…ラブレターだった」

「堂々と送り主探ししてるやつがプライバシーとか言えんの?というか、童貞拗らせてついに幻覚まで見出したか…」

ラブレターだった、と尻すぼみになる声で俺が呟くと、俺の隣からハッと鼻で笑う声が聞こえた。気にしない。気にしないぞ。
言ってることは、最もだけど。幻覚どうこうのところじゃないぞ、プライバシーの方な!

「とにかくこれはラブレターなの!しかも俺宛。なのに送り主の名前が書いてないんだよ」

「それが何で俺たちの誰かからってことになったんだ?」

「考えても無駄だよー、シィちゃんアホ可愛いから」

「ただアホなだけだろ」

「ぐっ…言いたい放題言いやがって…!いいかお前ら!」

手紙の内容から少なくとも俺のことを知っている、或いはそれなりに話したことのある人物であることは確かだ。
被っている授業のことや、そこでいつも俺を見ていたということ、それにここ最近のお昼ご飯の内容まで知られている。

俺はいつもこの四人でつるんでいるから、俺のご飯事情を知る人物なんて限られる。
俺、こいつら以外友だち居ないし。

「それだけじゃないぞっ!」

「「「うっさ」」」

「こういうことをするのは少女漫画の世界では大抵イケメンって決まってんだよ。つまりはお前らの中の誰かしか居ない。そうだろイチ!」

「残念ながらここは少女漫画の世界ではない。あとうざい」

俺の隣に座り、ツンツンとした態度で俺を睨み付けてくるイチは所謂キレイ系の美形だ。

切れ長の目は普段は眠そうに半分ほど閉じられていることが多いが、俺を目の前にするとそれが鋭くキツくなることが多い。
何でだ。それから発言も大体辛辣だが、休んだ分のノートを(めちゃくちゃ懇願すれば)見せてくれたりなど、意外と優しいところもある。
優しいところもある。願望も込めて二回言ってみた。

「シィお前…相当疲れてるんだな」

心配そうに端正な眉を下げるニノは正統派スポーツマン系の美形。実際サッカーサークルに所属しており、高校の頃は全国大会に出場したこともあるとかないとか。
いつも俺を気遣ってくれる面倒見の良い兄貴肌のニノは、この四人のまとめ役でもある。もちろんノートだって、必死に懇願しなくても普通に見せてくれる。
…アレ、じゃあイチに頼む必要ないじゃん。今度からニノに一番に頼もう。
とにかくニノは爽やかで、良い奴なんだよなぁ。

いくら悪戯だとしても、ニノはこんなことしないかな。

「ねぇねぇ、プリン頼んでい?お腹減っちゃった」

ふわふわの髪を揺らしてにこりと微笑むサンは多分ゆるふわ癒し系美形だろう。
本当、名前の通り太陽みたいな奴で、いつも自由に振る舞いその笑顔で皆を明るくしてくれる。
行動が自由過ぎるのはたまにきずだが。

サンの垂れ目の下には泣きぼくろがあって、いつもふわふわ笑っているからちょっと犬みたいに思える時もある。
人懐っこくて、俺より結構背も高いのにたまに頭を撫でさせてくれる。ふわっふわなんだよなぁ、髪色変えまくってるのに。傷まないのだろうか。

というかプリン、俺も食いたい。

「さて、再び本題だが…うま」

「プリン頬につけるってどんな高等テクニック?言っとくけどお前がやっても微塵も可愛くねぇどころかただただムカつくだけだからな」

「イチひでぇ。お前にはやらん」

「お前の食いかけなぞ要らん」

「シィ、ちゃんと食べてから喋りな」

「ほうだよぉ、ふふぃにほふいてふよ」

「サン、お前もな…」

ニノに口元を拭いてもらいながら、サンがにこにこ微笑んだ。赤ちゃんみたいで可愛いなぁ、もうすぐ成人だけど。
そしてニノは本当オカン気質だなぁ。

プリンも食ったしさて、本題だ。

この手紙の送り主について。俺は何としても突き止めねばなるまい。

「さて、ここでアリバイを整理しよう」

「完全に刑事ドラマになってんぞオイ」

「アリバイって何だ?というかシィは何がしたいんだ…?」

「次ヨーグルトもいいなぁ」

「この手紙が俺のロッカーに入れられたのは昨日俺が帰宅してから、今朝大学に来るまでだ。その間お前らはどこで何をしてた?」

まずは隣に目を遣ると、あまりに鋭い眼光で睨み付けられた。思わず「ひっ」と情けない声が漏れるが、この視線は初めてではないのでいい加減慣れたい。

いや、出来れば慣れたくはない。こいつが睨むのをやめてくれればいいだけの話だ。
怖いんだよ元ヤンの眼光…。そんなに睨まないでよ頼むから。

「お前の記憶力はポンコツか?お前が泣きついてくっから、レポート見てやってただろうが。しかも、夜通し」

「イチ途中で寝たじゃん…しかも俺のベッド占領して」

「他にどこで寝ろと」

「お客さん用の布団出すのに」

「で?朝も一緒だった俺がいつお前のロッカーにラブレターなんか入れられんの」

布団については完全に無視かい。

確かに、昨日はバイトも無かった俺はイチと一緒にレポートやってた。というか、イチは俺の家に着くなり家主の許可も得ずに風呂に入って、後はほとんどベッドに寝てやがった。お陰で俺はまだ身体中が所々痛いわけだが、まぁそれはいい。

「お前ら何だかんだ仲良いよな…」

「そういうニノは何してたの?サッカー?」

「おう。昨日はサークルに顔出してから、夜はそいつらと飲んでたよ。つってもちょっとだけだけどな。サンは?何してたんだ?」

「えー?僕はぁ、こないだ逆ナンしてきたおねぇさんに呼ばれたからホテルに」

「「「ストップ」」」

もういいです。

ゆるふわ癒し系のサンだが、この中で…というか大学の中でもトップクラスに下半身が緩い。と思う。
こんな見た目で童貞卒業どころか、もう何段もオトナの階段を上っているらしいサンはそれでも純真無垢な笑顔を絶やさない。
何なの、何で下半身ゆるゆるなのにそんなにふわふわした雰囲気は崩れないの。
初めて知った時は衝撃だった。
恐らくこの中で見た目とのギャップがすご過ぎるランキング一位は確実だろう。

それも、今は置いといて。

「本当に皆コレのこと知らないの?この中の誰かじゃなくても、俺のロッカー開けた奴とか知らない?」

そう訊くも誰も何も知らないようで、首を横に振られてしまった。サンは今度はヨーグルトを口の端に付けてる。逆に器用だよなぁ。

「ってか何でそこまで送り主にこだわんの。好きって言われてお前も好きになっちゃったとか?童貞シィちゃんマジチョロ過ぎ」

「イチ言い過ぎだぞ、サン、口拭けこら」

「まぁシィちゃんに好きって言うなんて守備範囲ひろ…おもしろそうな人だよねぇ」

イチも結構辛辣なこと言ってた気がするけど、サンも中々酷いことをさらりと言いやがった。でも笑顔が可愛いから許す。
ニノだけだよ、この中で俺に優しいの。

「別に好きになったわけじゃないよ。ただその、あれだよ。向こうは俺のこと結構かなり大分詳しいみたいなのに俺だけ知らないのは…何かなぁと思って」

言いながら手の中の紙をいじいじと弄ぶ。
確かにこれはラブレターだ。「好きだ」と、はっきり書かれていた。

そしてその理由とか、経緯まで事細かに。
本当、レポート並みの分量と丁寧さで事細かに。

「何が書かれてたんだ。貸せ」

「あっ」

もじもじしていると、イチに手紙を奪われた。手を伸ばしても、そもそも手足の長さから違う俺には届きようもなくて、ひょいと軽く躱されてしまう。

「開けるぞ」

「こらイチ、破るなよ」

「勝手に読んじゃっていーのぉ?」

俺の抵抗も虚しく手紙はその場で開封され、全員が暫し無言で数枚の紙に視線を集中させた。

何だかこちらが恥ずかしくなる。
送り主の人、ごめんなさい。俺が公にはんに…送り主探しなんてしなければ…!

暫く静かな時間が流れる。
午後の講義はめちゃくちゃ眠い。特にこんな天気の良い日には、窓際の席で微睡んでしまいたくなる。
今は空き時間で、授業も無いわけだが。

こんな謎の空気に包まれるくらいならば、教授の淡々とした抑揚の無い声で眠気に誘われる授業に出席する方が良かった。

いつもはうるさいくらいの三人が一斉に黙るので、何故だか本当に居たたまれない。

その沈黙を破ったのはニノだった。

「あのさぁシィ、言いにくいんだが…」

「よくこれをラブレターだなんて言えたなお前」

「何ていうか、僕でもちょっと引くかなぁ」

「サンまでっ!!」

いやまぁ確かに、内容は結構濃かったと思うよ?

被っている授業のこと、俺のお昼ご飯のこと、それからバイトのこととか。

君はどこで見てもきれいだ、とか。
いつも楽しそうな笑顔が眩しい、とか。
バイトのギャルソン姿似合ってるね、とか。そんな君のことを、とか…。

「いや少女漫画とか言ってたけど、これは無ぇわ…」

「そんなこと言うなよイチィ…。俺だってどうしたらいいか分かんなかったの!」

俺の個人情報のことをつらつらと書き連ねた後の愛の告白。四六時中つるんでいるこの四人の誰かでなければ知り得ないはずの俺の諸々のエピソード。
どんだけ俺のこと見てんだよって思った。

それにバイト先で注文間違えて慌てる君も可愛いねって書いてあったのには、流石の俺でもちょっと引いたぞ!何で知ってんの、いつのこと?いつ見てたの!?

とにかく、そんなに俺のことを知っている奴らなんてこいつらしか居ないだろう。
きっとこいつらの中の誰かが、悪ふざけで書いたと考えても不自然じゃない。

「なっ!こんなこと知ってるのお前らくらいだし、書いたのお前らの誰かだろ?なっ!」

「いやわざわざそんなコト書かねぇわ」

「あのさシィ…。それってストー、」

「ストーカーじゃーん!!」

「違うもん!多分!!…えっ、違うよね?ねぇっ!」

こんな大衆に簡単に埋もれることができる俺を付け回す物好きなんて流石にこの世に居るわけない。なので、こいつらのいつもの悪戯だろうと思ったわけだが。

思い込もうとした、わけなんだが。

「あー!!!もうっ!どうすりゃいいのぉ!」

「シィうっさい。ちょっと黙れ」

「あだぁっ!!!」

謎が深まるばかりで頭を抱える俺に華麗なデコピンを決め、イチがふうっと溜め息を吐いた。

「シィみたいな大衆に簡単に埋もれる奴を付け回す物好きなんて流石にこの世に居るわけないと思ってたのに」

「それさっきモノローグで言った」

「シィ、他に変わったことは無いのか?ほら、物がなくなったりとか」

ニノに言われてううんと思考をフル回転させる。はっ!そう言えば!

「お気に入りのパンツなくなった!」

「あ、それ多分おれが捨てたわ。雑巾かと思った」

「イ、イチィィイイッ!!!」

お前っ!何てことをっ!
あれ安いけど履き心地良くて結構気に入ってたのに…!

というかこいつが泊まりに来る度俺のパンツが減っているような気がしていたのは、気のせいじゃなかったのか?

よもやこいつに捨てられていたとは…!
くそぅっ!

「ねぇストーカー問題は?何かズレてってるよぉ」

「あ、そうだった」

「忘れてんじゃねぇよ」

「でも本当に、誰なんだろうな…」

四人でううんと首を捻る。と、俺の背後から不意にあまり聞き慣れない低い声が振ってきた。

「あ、それ読んでくれたの?俺が書いたんだけど」

驚いて全員ほぼ同時に声の主の方を見る。
その主とは。

「えっ、えっ、ゴトウくん!?」

まさかのダークホースだと!?
何と、ゴトウくんがこのレポート並みの手紙の送り主だったとは…!ていうかここで重大な問題が一つ。

ゴトウくんのこと、俺名前しか知らない!

何か背が高くていつも黒っぽい服装の人が居るなぁ、くらいの認識だった。
隠れファンが居るらしいとは俺の前の席に座ってた女の子たちの情報。真偽は定かではない。

急に現れたラブレターの送り主ことゴトウくん。彼は前髪が長く普段はもっさりとした印象だが、実はとても整ったお顔をしているとかいないとか。
ゴメン、俺にとってその辺は割とどうでもいい!

それより何で、あまり俺とは接点のない彼がこんなキモ…前衛的なラブレターを…?

しかも結構臆面もなく名乗りでやがった。
なら最初から書いといてよ、自分の名前…。

「名前ねぇ、書くの忘れてたんだよね。だけど君は優しいから、きっとどうにか見つけてくれると思ってたよ」

おぅ…。

髪に隠れて瞳はよく見えなかったけれど、ゴトウくんがうっそりと微笑った…気がした。

それにしても何で気づかなかったかなぁ俺…。
チビではないにしろ俺くらいのサイズならいざ知らず、こんな背の高い人が何回もバイト先に来てたり同じ時間に食堂にいたりしたら流石に気づくはずだろ、知らんけど。

というか俺以外皆背が高いの、ずるくない?別に俺が特別低いわけじゃあないからね。標準だから、それも知らんけど。

しかし本当に何で、ゴトウくんが…。
と、俺が言葉を発するより先に友人たちが口々に驚きを露にした。

「マジかゴトウお前…マジか」

イチが二回言った…。めっちゃ驚いてんじゃん、珍しいな?

「本当にこれ、お前が書いたのか…?」

手紙を手に恐る恐るゴトウくんを見上げるニノは本当に信じられないと言ったカオをしている。

「びっくりだよぉ!おもしろい趣味は一人で十分なのにさぁ」

え、俺を好きだとおもしろい趣味認定なの?ねぇ何でそんな辛辣なの?この子ったら。でもサンは可愛いから許す。うん。

さて、そろそろこの問題の中心人物である俺も発言していいだろう。

ゴトウくんは本当に俺のことが好きなのか、どうして今になってこんな手紙をくれたのか、そもそもコレは本当の本当に俺宛なのか…。いやまぁ俺の名前が書いてあるから俺宛で間違いはないと思うんだけどどうしてもまだ、信じられなくて…。

そして彼は俺に何を望んでいるのか。

訊きたいことが多過ぎてまとまらないが、とにかく話さなくては始まらないと俺が口を開きかけた、その時。

またしても先手を奪われた。
いい加減俺に喋らせてくれてもよくないかな…。

「あのさ、今すぐとは言わないんだけど出来たらその…考えて欲し」

「きりーつ」

「おうっ」

「はぁーい」

「えっ、何なに」

ゴトウくんが照れ照れと何かを言い掛けている途中、イチが間延びした声で遮った。
するとそれに続いて、ニノもサンも立ち上がる。

何なのお前ら。打ち合わせでもしてたの?
俺だけ…いや、ゴトウくんも何が起きたのか分かっていないみたいだ。

「ゴトウくーん。ちょっとこちらへ」

「はぁ?俺は今シィくんに話が」

「誰が名前呼んでいいっつった?○すぞ」

「こらサン、柄が悪いぞ。ほら、シィが怯えてる」

うん、今のはマジでビビった。今、放送禁止用語でゴトウくんを罵ったのはイチじゃない、普段は天使のサンくんです。

俺が聞いてなかっただけで、サンも元ヤンだったのかな…。だとしたらギャップ多過ぎて属性過多じゃん。
たまに舌打ちみたいのが聞こえてたのは全部イチのだと思ってたけど、あれってサンのも混じってたのかなぁ。

「というか皆どこ行くの?俺は?」

「シィはそこで追いプリンでもしてろ」

「追いプリンて何!?追いオリーブオイル的な感じっ!?」

「悪いなシィ。オレたちはちょっとだけ席を外すけど、変な奴が来ても無視するんだぞ。………さっさと歩けオラ」

「お菓子くれるって言ってもついてっちゃめっ!だかんね!」

「秒で戻る。心配すんな」

いやいや、いやいやいや!!
めちゃくちゃ心配なんですが。

主にゴトウくんの身がっ!!!

ていうか、ニノも低い声で何か言ってなかった?目付きが据わってた…ような…。いつもの優しい頼れるお兄ちゃんはどこ行っちゃったの。

俺が知らなかっただけで、実は皆…。

………。

考えるのをやめた俺はとりあえず、チョコ味のプリンを食べることにした。

そして流石に数秒とはいかなかったが、皆がどこかへ消えてしまったその数分後。

俺がチョコプリンを口で溶かしている隣に、さっきまでそこに座っていた人物が腰を下ろした。

「美味い?ソレ」

「…んまい」

「ちょっとくれ」

「俺の食いかけなぞ要らねぇんだろ」

「ケースバイケースですぅ」

「やらん」

「チッ」

ほら、すぐに舌打ちする。
その癖やめたほうがいいよって何回も言ってるのになぁ、もう。

「さぁ行こうか、シィ」

「もう用事終わったの?」

俺が食べ終わるのを待って、イチが立ち上がる。

あれから暫くして戻ってきたのは、イチだけだった。ゴトウくんはもちろんのこと、ニノやサンの姿も見えない。

どこ行っちゃったんだろう。
というかイチだけは本当すぐに戻ってきたなぁ。有言実行野郎め。

「なぁニノとサンは?あとゴトウくんはどうしたの?」

「二人は知らね。あとやっぱアレ、お前のことじゃなかったみたいよー?ゴトウの勘違いだったってさ」

「そっか…?そっかぁ」

あんだけ事細かに俺のこと書いておいて?似た人のことだったのかなぁ。
でもあんなに授業とか食べるものとかバイトとか失敗談まで被ってる人いる?

さっきだってしっかり俺のこと見てたし…。変なの。

「って!騙されるか!はっきり俺の名前書いてたじゃん!!」

「同姓同名だろ」

「聞いたことないよ俺と同じ名前」

「るっせぇなぁ。ほら来いよ。今日も泊まりで課題見てやる」

「どうせすぐ寝るくせに…」

チョコプリンは美味かったので、今度また頼もう。そういや手紙はニノが持ったまんまだったなぁ。返してくれるだろうか。

…書いてもらっておいてなんだが、別になくてもいい気がする。

「なに考えてんの」

「………いろいろ」

そうしてイチに手を引かれ、俺は食堂を後にした。

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