「お母さん、お父さんは寝てるの?」

「…違うわ、お父さんは死んでしまったのよ…」

「…もう起きないの?僕と遊んでくれないの?」

「…ん…そう、よ…」

「お父さん…お父、さんっ…」

「泣いては駄目、お父さんが蘇らない様、無事に天の国に行ける様、全てが終わるまで…泣いては駄目、なのよ…」




いつの頃からか…死んだ筈の人間が蘇る、不可解な病…または現象が、この国で、この世界で起こっていた


蘇った人間の大方は自我も残らず、ただ暴れるか、或は廃人の様に、人形の様になるだけだった


蘇った人間は【人形蘇り―ヒトガタガエリ―】と呼ばれる様になる


国は一人でも多くの人間を、人形蘇りにさせぬ様、死者がこの世に未練を残さぬ様、命が弄ばれる、悲しき事が起きぬ様…土葬を禁止し、火葬が終わるその瞬間まで泣くことを許さない【黙葬令】を発布した


それでも、人形蘇りは増え続け、人々に危害や傷を与え続けた



そんな中、人形蘇りを破壊する、壊してあの世に送る組織【銀の糸】が結成された

人形蘇りを破壊し、焼き払う悲しき運命の中に



光太は居た




「覚悟は出来た、俺はもう泣かない…美由歌を壊す、その日まで…!」




痛みと悼み
二つの苦しみと対峙しながら、光太は今日も糸を引く
戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -