≪お昼寝2≫



ぽかぽかと温かい穏やかな日差しが、掃きだし窓から緩く差し込んでいる春うららかな昼下がり。南向きの和室で私はごろごろとしながら寛いでいた。うとうとと瞼が重くなってくるのは、程よくお腹も膨れ、程良い温かさに保たれた部屋がもたらしてくる作用。それ以上に、背中に感じる体温。

「随分暖かくなってきたね」

私を抱きかかえるようにしながら背中から囁くのは、大好きな佐助。発せられる低く甘い声も、私を幸せな気持ちにさせる。

「ホントだね。毎日こんな風だと過ごしやすいのに・・・」

とろんと落ちる瞼と戦いつつそう答えるものの、言葉は尻切れトンボのように尻すぼみになっていく。

「叶ちゃん、眠たいの?」

「ん・・・、も、寝る・・・」

「そっか」

佐助は意識を落とす私をギュッと抱きしめて、優しく頭を撫でてくれる。そのやわやわと触れられる感触が、私を気持ち良く微睡の中へと誘ってくれた。ころんと転がって佐助の方へと向きを変え、佐助の胸元に寄り添って目を閉じる。鼻腔をくすぐる佐助の匂いが、私にとても安心感を与える。おでこにちゅうと押し付けられる佐助の柔らかな唇を夢うつつの中で感じて、現実なのか夢なのか分からないけれど気持ち良さに口元が緩む。というか、こんな甘いばかりのふわふわした気持ちは、多分きっと夢に違いない。

「佐助ぇ・・・、んふふ、大好き・・・」

いつもなら普段絶対に口にしない言葉も、夢の中ならば素直に口に出せる。目を開けないまま、佐助の身体に腕を回してぴっとりとくっ付くと、続いて落とされる頬へ、瞼へ、鼻の頭へ、そして唇へのキス。そのくすぐったさにクスクス笑うと、佐助の楽しそうな笑い声も聞こえる。

「俺様も叶ちゃんのこと、すごく、すごーく大好きだよ」

夢でまで佐助とベタベタしてるなんて、私も相当佐助馬鹿というか、何というか・・・。自分自身にちょっと呆れつつも、やっぱり居心地の良い佐助の傍は私だけの特等席。夢ならばいつもは恥ずかしいことも、とことん堪能してみようと気になる。

「佐助、腕枕とぎゅうしてぇ」

「はいはい、甘えんぼさん」

差し込まれる腕に頭を乗せて、甘えるように佐助の首筋にキスをした。

「ん・・・、そんな可愛い反応されると、我慢出来なくなっちゃうでしょーが」

佐助は私の背中に回した手を、上着の隙間から差し込んで、直接背中の素肌の上を擦るように動かす。

「やだぁ・・・くすぐったいよ」

「んふー、やっぱり手触り最高〜」

「んん・・・、でもちょっと寒いよぉ」

佐助の手は基本的に少しひんやりとしていて、春の暖かさを感じるといえども、直接肌に触れられると肌寒さを覚えた。

「あ、ごめんね。これ、用意してたんだった」

佐助はいつの間にか用意周到に毛布を用意していた。それを私の身体と自分の上にも掛ける。すぐにほくほくと温もりに包まれて、ますます居心地の良さを感じる。

「あったかぁい・・・」

「あはー、これで大丈夫だね〜」

佐助はそう言うと、もはや遠慮の欠片も無く服を捲り上げて触りたい放題に身体に触れる。ふにふにと下着の上から胸に触れると、くふくふとだらしなく忍び笑う佐助の声に、眉を寄せる。

「ちょ・・・、ヤダぁ。気持ち悪い」

「え、ひっど!俺様傷付く〜」

「夢の中で傷付くとか、やたらリアルだな、この夢ぇ」

私はそれでもこれが夢だと疑わなかった。「佐助、セクハラ〜・・・」なんて言いながら、むにゃむにゃと気持ちの良い微睡に身を委ねる。春の日差し、その中での趣味と言えるくらい好きなお昼寝。そしてそこに大好きな温もりが加わって。なんて最高な時間だろうか。夢なら覚めないで欲しい。


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