佐助くんは聞き上手です。



「結局、佐助の聞き上手さって、私にはべったべたの甘やかしで、他の人には距離を取っているから発揮されてるってことで良いの?」

「んー?そうだねぇ・・・って、それ今話すこと?」

私は汗で額に貼り付く髪を掻き上げながら、気怠い身体を少しだけ起こして佐助に話しかけた。絡め合っている足を少し擦り寄せると、佐助が腰に腕を回して、甘えるように裸のお腹の上に顔をくっ付けた。そのままにじりと私の身体に圧し掛かり、起こした身体をもう一度ベッドに戻される。

「だって、やっぱり気になるんだもん・・・」

「もぅ・・・なら休憩中だけ付き合う。それで良い?」

「うん」

ちゅっと落とされる額へのキスに目を細めて、佐助の首に腕を回す。顔を首元に埋めると、佐助の汗の匂いが鼻腔を擽る。それがすごく優しくて、鼻を鳴らして吸い込んだ。

「やぁだ、何か俺様匂うみたい・・・」

「良いの、好きだもん。匂いフェチなんだよーだ。それよりさっきの続き」

「続きって言われても・・・。俺様は叶ちゃんとは違うから。誰かと分かり合いたいとか、仲良くなりたいとか、全然思ってないし。分かり合うどころか、分かってもらおうとも思わないから」

「でも、それって冷静で居られるってことだよね」

「冷めてる、の間違いじゃない?」

佐助は困ったように苦笑を浮かべつつ、私の手を取って指を絡める。その一つ一つの動きがセクシーで、その上気持ちが篭っていた。

「私に足りないのはそれかも。何でもムキになっちゃうのは自覚してる」

「本当はそれ、褒められることだけどね。俺様みたいにしよう、なんて思わなくて良いんだよ。叶ちゃんは叶ちゃんらしく居て?」

「でも・・・やっぱり印象を変えたい。私だって凹むんだから」

「ああ、だから聞き上手になりたいんだ。確かにそういわれている人は、第一印象から人受けするもんね」

「そう。無意味に攻撃されるのは、やっぱり良い気がしない」

佐助の端正な顔の、シャープな輪郭を撫でながら、寂しい想いを吐露した。誰だって、否定されて嬉しい人間なんて居ない。

「でも、だとしたら俺様を真似てもなれないよ?さっきも言ったように、俺様のは作られたものだし。第一、人をある一定以上近付けさせないためのものでもあるから、アンタの願望の逆になるし」

「うーん、言われてみればそうかも・・・」

「それに、多分寂しい人生なんだと思うぜ?俺様の考え方とか行動は。こっちに来て、アンタに出逢えなかったら、今もまだ、俺様は主以外の誰にも心を許して無いんだ。その中で生きていた頃は何とも思わなかったけど、やっぱりこうしてアンタとの繋がりを知ってしまったら、あの頃の自分にはもう戻れないって思う」

きっと、全てを捨ててきた人生だったのだろう。たまに聞く佐助の昔話に登場するのは、主の真田幸村その人だけ。他には親も、兄弟も、本当に誰も居ない。

「ね、発想を転換させたら?誤解されようが、距離を取られようが、アンタと話す機会があった人間だけが、アンタにとって必要な人だって。人って、すれ違うだけなのも含めると、一生で凄い人数と出会っているらしいし。それを必要な存在か否か、選別するのも大変でしょ?きっと神様がアンタの代わりに選別してくれてるんだよってさ」

「神様?」

「むー、どうせ俺様は信じてませんよ。あーあー、もう、せっかく真面目に答えたのに」

「ごめんごめん。佐助、ありがと!良い考え方貰った。それ採用!」

「どーいたしまして。あ、そんな、ありがとなんて言わなくていーよ。だってその代りにお礼はたっぷり支払ってもらうから」

そう言って佐助はにっこりと良い笑顔を見せた。・・・これは高い代償かも知れない。佐助先生のレクチャーは高額過ぎる!

「んふふー、・・・あー、興奮してきちゃった」

佐助が私の手を口元に引き寄せると、ペロリと指を舐める。一本ずつ唇で行われる愛撫。ただ指を丁寧に舐められているだけなのに、心臓が高く鳴っていた。身体も熱くなり、じわりと濡れはじめる。

「あ・・・、さす、け・・・」

指の股を舌先でちろちろと舐められた瞬間、身体が震えた。二人の熱を持った吐息が重なり合う。

「も、休憩はお終い。ね?」

私の答えを待たず、佐助はそう宣言すると、深く唇を合わせ、そして濡れた秘裂に手を伸ばした。指が襞を捉えると、ただ触れただけなのにくちゅりと音がする。直接触れられていたわけでも、激しい愛撫があったわけでもない。ただ、指を丁寧に舐められただけなのに、身体が激しく反応していることに戸惑いを感じる。

「んー、すんごい反応が良いね。とろっとろになってる。俺様の手、もうアンタのでグショグショだよ?」

チュッチュッとキスをしながら首筋からデコルテ、胸へと佐助の顔が降りて行く。絡めていた足を上手く使われて、するりと佐助の身体が足の間に入ってくる。そしてそのまま膝の裏をぐっと持ち上げられると、佐助の顔の目の前に秘裂が晒された。佐助は少し身を屈めて顔を埋めると、わざと音を立てて啜るように秘裂を舐め始める。

「あ・・・ぅ、ン・・・。やん・・・恥ずかし、いよ・・・ッ」

気持ち良さと羞恥で顔に熱が集まり始める。片手で顔を覆うと、佐助にその手を優しく払われた。

「隠したらダメだよ。アンタが善がりながら恥ずかしがるのが良いんだから」

「・・・変態」

「そー、俺様変態なの。そんなアンタにゾクゾクして興奮するの」

「・・・・・・っ!」

あっけらかんと認められると、それ以上言葉が見つからない。佐助はそんな私の羞恥心を更に煽るように、上目遣いにこちらをじっと見つめながら、わざと赤い舌を伸ばして、舌先だけをチロチロと動かし、秘芽を集中して舐める。触れている部分はほんの狭い範囲なのに、何故か大きな快感が身体に訪れる。

「はぅん・・・あ、ン・・・何で・・・」

「ふふ・・・かーわい・・・。んじゃ、お次は可愛い声をもっとお聞かせ願おうかな」

色を滲ませた佐助の声が発せられるたびに、熱い息が敏感なところに掛かり、それだけでも刺激になる。佐助の舌にもたらされる快感に腰をくねらせていると、さらに指が蜜壺の入り口を捉え、そのまま中へと沈められた。

「ひ・・・ぁ・・・ッ」

ゆっくりと奥まで沈められてから、ゆっくりと引き抜かれて行く。ただ、挿れられる時と違って、少し曲げられた指の腹が、お腹側の内襞を擦り、舌で転がされている秘芽から起こる快感に加えて、中からも快感が訪れ始めた。

「ンあぁぁ・・・ッ、ア・・・、イイ・・・!」

折り曲げられた足に力が入り、指先がシーツの海を泳ぐ。無意識に佐助の頭を髪の毛ごと掴む。佐助の舌が、指が動かされるたびに立てられる湿った水音に鼓膜まで犯され、全身が性感帯になった様に、佐助のもう一方の手で愛撫される太腿の裏側すらこの身を蕩けさせる刺激になる。大きな刺激を前に、先程まで気になっていたことは、すっかり頭の中から飛んでいた。佐助との行為に、心身ともに耽っていた。それなのに、もう少しで絶頂を迎える、という絶妙なタイミングで、佐助は愛撫を止めた。宙ぶらりんに煽られた身体の熱に、浮かされるように恨みがましい視線を佐助に送る。









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