≪女子会≫



電車がいつもの最寄駅に着き、改札をくぐったところに見慣れたオレンジ色の髪を視界に捉えた。

「叶ちゃん、おかえり!」

「佐助っ!迎えに来てくれたの?」

「んふー、当ったり前!こんな暗い中、アンタ一人で歩いてくるとか。危なっかしくて俺様胃に穴が開きそう」

そう言って私を腕の中に引き入れられ、頭頂部にぐりぐりと佐助の頬が擦りつけられる。

「ちょ、ここ公衆の面前だから!離れて」

そう言って佐助の身体を押し退けると、「酷い」と言いながら佐助は離れた。

「なら、はいっ」

抱きしめる代わりだと言わんばかりにぴっと差し出されたのは、佐助の大きな左手。私はその手に指を絡めた。

「今日は楽しかった?」

「んー、楽しかったけど、イライラもした」

「イライラ?何で?」

「もう、本当に酷い話なのよ。佐助、聞いてくれる!?今日会った子は私が大学生の頃からの友達なんだけど・・・」

そうして私はさっき聞いてきた果南の話を一通り佐助に話した。

「何それ。その男、ひっどいね!」

佐助は私の話を聞いて、顔を顰めた。

「でしょ、でしょ!?あり得ないわよ!!ほんっとに腹立つ」

私はお腹に力を入れて、拳を握りしめながら力説した。

「俺様なら本気の相手にそんなこと絶対言わないぜ。って言うか、一緒に居るために抱えてる問題をどうにかする努力をするけど」

「佐助ならそう言うと思った。ってか、普通そうじゃないの?本当に好きなら手放したくないはずよ」

「こう言っちゃ悪いけど、その男、ヤりたかっただけじゃないの?じゃなきゃ俺様意味分かんない」

「私も正直そう思う・・・。果南も気付くと良いけど・・・」

「でもその子、そんな男でも好きなんだねぇ」

「男の正体が分かってないのよ。恋心が真理眼を曇らせてるんだわ。あー、どうにかしてやりたいわ」

「俺様も同じ男として、そう言う奴はどうにかしてやりたくなるぜ。男の恥だって」

佐助が私と一緒に憤慨する様子を見て、何だかホッとした気持ちになった。

「こんな時に何だけどさ、私、佐助で良かったって思った」

「それは光栄だねぇ、俺様叶ちゃんにそう言ってもらえて大感激〜☆」

「今日ね、果南と理想の男についても話したの。それで分かったのよ。佐助ってば、理想の男そのものなんだって。普段は甘えてくる可愛い男。だけど、いざって時は私が甘えさせてもらってるし、私の一番して欲しいことをタイミング良くしてくれる。私だけを見てくれて、だけどぎゅうぎゅうに締め付けたりもしない。気遣いも上手くて、先に必要なことは準備したりやっておいてくれたりするし、家事も完璧だしね」

「むふ、ついでにアンタの身体も満足させてあげられてるってね?」

「ちょっと・・・その一言で全部台無しにしてるわよっ」

「あはー、ごめんね?」

「謝る気なんてさらさら無いでしょ」

私が佐助をじと目で見ると、佐助はさらに「ごめん」を繰り返した。

「茶化す気は無かったってば。実際そうだって自信があったから言ったの。でももう言いません!」

「本当にこの破廉恥忍は!」

私がそう言ったのを最後に、この件については終わりにすることにした。破廉恥じゃない佐助は、佐助じゃないとも思う。

「叶ちゃん、俺様はアンタをこの先もずっと、未来永劫離す気なんか無いからね。覚悟しろよ?俺様に愛されるってことがどんなか」

「んー?どんななの?」

佐助の言葉に、私は視線を佐助に向けた。すると、佐助はにやりと口元を笑ませた。そして、私の髪に手を触れた。

「俺様、アンタの全てを離さない。この髪1本も、この肌も、この指先も、その吐息も、その命も、その魂まで・・・」

佐助は言葉を紡ぐたびに私の身体にそっと触れて行った。最後に左胸の上に指を置いて、私の瞳をじっと覗き込んだ。

「全部、俺様のもの」

佐助は一文字ずつ区切るようにゆっくりとそう告げる。私は息が出来ないような息苦しさを感じて、ひゅっと息を吸い込んだ。

「すごい・・・想いね・・・」

「アンタが俺様の腕の中から逃れる時は、アンタを殺して俺様も死ぬ。それくらい、アンタを愛してる。愛してる、叶」

「うん、私もだよ」

握ったままの手にきゅっと力を込めて佐助の言葉にそう答えた。佐助は繋がった手を引き寄せて、私を抱き寄せた。

「ごめんね、こんな風な愛し方で」

「良いよ。私もそんな佐助だから愛してるし、愛されてるって揺るがない自信が持てるの」

佐助はそっと私の額に口づけを落とすと、身体を離してまたゆっくり歩き始めた。今日はとりあえずさっさと家に帰って、佐助に甘えながらゆっくりと寛ぎたい。明日は仕事もお休み。一緒に何をするか雑誌とか見ながら決めたりとかしたいなぁ、なんて考えながら、佐助と並んで歩いた。





―――果南のおかげで、私が今、どんな幸せな恋をしてるか分かったわ。果南もこんな愛を見つけられたら良いのに。

―――そうだね。でも、きっと良い人、現れるって。

―――誰か居たら紹介してあげないとね。

―――あ、アンタはその男とあんまり触れ合わないでよ?俺様嫉妬で大変だから、ね?





最後に三郎の考える佐助さんをちょっとだけ公開〜☆佐助さんはきっとものすごく独占欲が強いと思ってます。でもそれを上手く隠せてしまえる人。心の中ではドロッドロの想いとかもあるんです。人間臭いの。

逆に好きじゃない人への冷酷な面もあったり。うーん、意外にワガママさんだわwwwwでも、だからこそ最愛の相手にはすべてを擲てるんだと思います。それが彼の闇の部分。普段、正直じゃない態度を取ってるくせに、生き方はものすごく正直ですね。羨ましい。

しかしこのバカップルwwww羨まし過ぎでしょーが!


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