体重落とすだけじゃダメになってきました。




「それがね・・・、湿気が強いせいか、何だかもう夏バテ症状が出ちゃって。具合悪くて、お昼あんまり食べられない日が続いちゃって・・・。そしたら痩せてた」

そう言うと、佐助は慌てて私の身体をあちこち触り出す。お腹周りを撫でたところで、佐助の手が止まった。

「本当だ・・・何で気付かなかったんだろ・・・。って、これをアンタが隠すために俺様は引っ付かなかったとか?」

「うー・・・、まぁそれもある」

「まだ他にも理由があるの!?」

佐助は唇を尖らせて、私の言葉に拗ねて見せた。全く、何でも全部知らないと気が済まないらしい。

「痩せたって言っても、冬の間に溜めてた贅肉分が無くなっただけだし、ね?私としては今がベスト体重なの。でも、それなのに昔ほどお肉が落ちてない気がして・・・」

私はそこまで行って寝室の方に歩いて行った。そしてクローゼットの中から、ある機械を手にリビングへ戻る。佐助が何なの?というような不思議そうな顔をしていた。

「これ、知らない?たまにテレビでもやってるんだけど」

「なに、これ?ヤダ、そんなからくりに頼らなくっても、俺様ので満足・・・」

「俺様のでって!違うからッ!佐助くんは何の番組を観てるのかなぁ?えぇ?」

「あはー、そうなの?やだなぁ、俺様ったらー。えええ、じゃあ、何のからくりなのさ」

私がそう詰め寄ると、佐助は顔を引き攣らせて話をすり替える。全く佐助ってば知らない間に変な知識まで吸収しているようだ。私はそんな佐助に冷たい視線を送りながら、話してもちょっと分かりづらいだろうと思い、実演してみせることにした。

「これはこうやって使うの」

そう言って、機械とコードで繋がっている四角いパットのようなものをお腹に貼り付け、機械のスイッチを入れる。すると貼り付けたパッドから筋肉に刺激が伝えられ、強制的に運動している状態に晒される。見た目はほとんど動いてないが、筋肉が動いているため、ぴくぴくとお腹が動いている。

「こうしてると、勝手に運動してるのと同じ作用があって、腹筋が鍛えられるの。痩せた割に、以前に比べて弛んでると感じたから、買ってきて使ってたのよ」

そう、食事後の寛ぎタイムでこれを15分使用するのを日課のようにしていた。その間は佐助のちょっかいを受け流していたのだが、それが今回の出来事に繋がったらしい。

「なーんだ、そんなこと!」

「そうよ。全くとんでもない言いがかりよ。こんなことまで晒さなきゃならなくなるし・・・」

私はそうぶつくさ文句を口にした。女には、隠れて努力したいことだってある。

「俺様は別にどんなアンタを見せられても引かない自信あるけどね!」

「逆にそんな引かない佐助を見て、私がドン引きだっての」

「・・・・・・!?」

「ちょ、いちいちそんなに大きな反応しないでってば、もー、全く。佐助は良いわよ、自分はちょっと引き締まってるからって!いい歳になって来ると、重力に抗うのも一苦労なのよーだ」

言葉の最後に口の端を思い切り横に引いて、いーっと歯を見せた。それに何故か佐助はニヤリと笑い掛けてくる。この笑いの時には、嫌な予感しかしない。

「な、何・・・!?」

「大丈夫、叶ちゃんの腹筋を・・・、腹筋と言わずあちこちの筋力を鍛えられる良い運動があるよ!ちょっと俺様と鍛えてみ・な・い?」

そう言ってツツツと擦り寄って前から私を抱きすくめると、太腿の後ろ側からお尻、背中へと指を伝わらせる。

「こんの、破廉恥駄犬め!」

「んふふ、油断するとこの犬は、飼い主の手を噛む狂犬に変わっちゃうんだから。気を付けてね?」

佐助は低い声でそう囁くと、私の身体を軽々と持ち上げた。

「お、下ろしてー!私には機械があるから大丈夫ですー!」

「いやいや、あんな機械より、俺様の方が効果抜群だから、ね?」

そう言って佐助は、私を連れて部屋を移動した。



―後日談―



「うほっ、何これ、何これ!うはー、ぴくぴくして変な感じ!!」

「ちょっと、返してよ〜。私もきゅっとくびれた腰になるんだから。その次はお尻、その次は太腿ってもう予約いっぱいなんだからね!」

「待って待って、ちょーっと楽しいかも!あはー、ほら叶ちゃんは俺様の上で動けば良・・・いったぁぁぁい!!冗談だよ?いや、ちょっと本気も入ってるけども!」

「佐助は口を慎みなさいよ。本当にもう!!」





すみません。初夏に上げるの忘れてました(´>ω・`)テヘペロ☆もう残暑だってーの。


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