≪お昼寝2≫



何て可愛い存在なんだろうか!コレが俺様の大事な人ですと、大声で叫びたい。いやでも、誰の目にも触れさせないように、何処か深い檻の中に閉じ込めて、俺様だけのものになって欲しい。誰かの目に映ることすら耐えらんない。誰にも見せたくないし、声も聞かせたくないし、空気だって共有させたくない。同じ空間から吸おうとした奴は、この手で消してやろうか?ま、正直、狂ってんじゃないか?って自分でも思うけど、心に浮かんじまうこの気持ちはどうしようも無い。

「寝顔、かわいーなぁ・・・」

額に掛かった髪を、そっと退けてやる。長い睫毛が頬に影を落とし、幸せそうな顔して眠るアンタに、ふと気付くと口の端がだらしなく緩んでいた。

「やべ、まただらしない顔してって怒られちゃう」

そう独り言を言いながらも、緩みっぱなしの口角はなかなか戻せない。何より、そんな自分が意外と嫌じゃないから困る。もちろんこんな罪深い俺様が、これだけ愛せる人に出会えたこの幸せを、例え一時でもしっかりと抱きしめることを許されたいとは常々願っている。奪ったものの枷は忘れたわけじゃない。時代のせいにも誰かのせいにもしようとは思わない。あれは確かに俺が必要だと思って実行してきたこと。だけど、今は・・・、今だけは棚上げさせて下さい。頭ならどれだけでも下げるから。そう何かに縋りつかせて欲しい。

「いたずらしちゃおっかなー」

穏やかに眠るアンタを見て、つい手を伸ばしたくなった。柔らかいほっぺたを軽く抓むと、「う、うーん・・・」と抗議の声を上げながらもまだまだ眠りは深いようで目覚める気配は無い寄せられた眉も、すぐに何事も無かったかのように元に戻り、頬を抓まれたまま平然と爆睡している。毎朝目覚ましが鳴ってもなかなか目が覚めないわけだ。これでは結構な刺激が無ければ起きないだろう。さて、どれくらいまでやったら起きるのか。途端に悪戯心がむくむくと首をもたげる。とりあえず・・・と、んー、と唇を寄せて・・・ちゅっ。全く反応無し。これでは防犯的にまずいんじゃないだろうか!?なんて逆に心配になるくらいすやすや眠っている。とりあえず俺様が居るところ以外で無防備にならないように注意は決定。全く、心配ばっかりさせる子だと思う。その次は〜・・・と、若干今度は違う意味で表情を緩めながら、そーっと手を伸ばす。むにゅ。ついでにふにふに。

「んー・・・」

一瞬抗議の声が上がりコロリと身体の向きを変えられる。しかしそれだけだった。

「アンタ胸も性感帯だろー!?どうなってんの、全く・・・」

ぼやきながらも、もう一度後ろから手を伸ばし、今度は下の方に・・・さわさわ。反応が無いことを確認して、ならばと前に移動させて撫でてみる。これも無反応。こうなると止められないのが男の性ってやつだよね?さらにエスカレートしてそーっとスカートの中に手を差し込んで、薄い布をズラして・・・。

「ん・・・。ん・・・?・・・はぁ!?」

ヤバい。お目覚めになりました、姫君・・・。冷や汗が止まらない。

「何してんの?」

「えー・・・あは・・・は?」

こちらを見る叶ちゃんは、寝起きで超不機嫌な顔を全開でしていて、さらに上目遣いに睨んでいる。笑って誤魔化せるような状況ではない・・・。

「何してたのかなぁ?佐助くんは!」

「え、えーと・・・、アンタの防犯意識についての調査?」

「へー、私のために。ふーん?」

「う、うん。ダメだよ、俺様以外の男の前で無防備になっちゃ!だってアンタってば俺様が色々してるのに全然気づかないで寝てるんだからッ」

「全然気づかなかったんだー。そうなのー。教えてくれて、どうもあ・り・が・と!!」

「いたたたたたたた!!」

叶ちゃんは容赦なく俺様の頭をげんこつでグリグリ圧迫する。痛い、マジで痛い!容赦が無い!!仮にも俺様、アンタの愛しい男のはずだけどー!?

「大体ね、調査なんて必要ないっての!私にいたずらなんて、アンタしかしないでしょーが!全く!!人が気持ち良く眠ってたって言うのに!!」

「ご、ごめんなさぁい」

俺様はギブギブと、こちらに来てから覚えた白旗の上げ方であるタップを送る。

「もぅ、こういうとこ無かったらカッコいい、良い男なのに」

「えー、こう言うもんでしょ、男って。というか、こんなとこも好きでいてくれてるんだろ?俺様だから」

「・・・・・・ばか」

叶ちゃんはちょっとだけ困ったような顔をして、ぷいと俺様に背を向けた。その背をぎゅっと抱きしめると、俺様の腕にそっと添えられる手。もうお昼寝はおしまいにして、お買い物がてら夕焼けを見ながら一緒にお散歩にでも出よう。そう伝えるまでの短い時間、俺様は小さな背を包み込むのを堪能した。





以前書いたものの、春になりかけの時期に・・・と寝かせておいたものでーす。数か月前の?いつのかすら思い出せない・・・。同じ題名で他に書いたので、2としました。続きとかではございません。

そして私はお昼寝が好きだー!!(聞いてない)


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