――ガララララ…


「いらっしゃー…あ、銀時」

「うーい久しぶりィ。繁盛してっかァ?」

「お陰様で。何今日は。以来料でも入ったの?」

「まーな」

「マジでか、明日は豪雪かな」

「オイィィィ!!!お前どんだけ俺をダメ人間と認識してんの!?」

「冗談よ………多分(遠い目)」

「何その間ァァァ!!!」


――ガラッ!ズシャァァァァ!!!


「くっ、何とか逃げ延びたか…!」

「んん?」

「あれは…」

「フッ、真選組の奴らもまさかこの俺がこんな寂れた場末の居酒屋にいるとは思うまい」

「んだよヅラじゃねーか」

「つーかイチャモンつけに来ただけなら即効出てけ。さもなくば私がこの手でお巡りさんに突き出すよ」

「それはやめてくれYO!」

「「ウザァァァ!!!」」


「…ったくよォ…あ、俺生中ね」

「はーい」

「俺は日本の夜明けを一つ」

「お前ここをどこだと思ってんだ」

「どこって…程ほどにしなびた感じが通には堪らない、これと言って特徴もない普通の呑み屋だと」

「えーと警察は119番だったっけ…」

「バーロォそりゃ救急車だよ。サツは117だろーが」

「馬鹿か銀時。それは時報だ。警察はアレ、0120‐×××‐1234だ」

「×××‐1234…」

『はァーいこちらデリヘルサービス桃色☆ヘブンです!』


「………」
「………」

「ん、どうした。俺の顔に何かついてるか」

「いやというかお前はもう少し装備をつけるべきだ。頭に」

「というか今すぐ出て行け」

「何を言うか親父!」

「誰が親父じゃこのハゲドカァァァァァン!!!!

……えええええ」

「表か?近くだな」

「雷でも落ちたか「アッハッハッハ!着地に失敗してしまったきに(ガララララ)」


「………」
「………」
「………」


「おっ、何じゃ皆揃っちょるな!わしとしたことが出掛けに巻き込み事故に遭ってしもうてなアッハッハ」

「スイマセン前科持ちの方はちょっと」

「オイそれ言ったらこいつ指名手配犯だぞ」

「何を言うか。それもこの腐った世の中が勝手に決めた座右の銘だ」

「座右の銘なのそれ?何誇らしげな顔してんだよ気持ち悪ィ」


「ところでヤツはもう来ちゅうがか?」

「んにゃ、まだ来てないよ」

「ほーかほーかそいつは何よりじゃ」

「つーかこの年にもなってお誕生日会って」

「しかも一番来なさそうな奴のだからねえ」

「主役不在はかなり痛いぞ」

「アッハッハ、心配ないきー。アイツは兎さんだからの、絶対に来る」

「兎さん…?」

「アイツが兎さん…」


「………」
「………」
「………」(想像中)

「「「………ぶっふゥ!!!!!」」」


「ぶっ…くくく苦しい…!」

「わわわ笑っちゃ悪いよ馬鹿銀」

「そそそういう貴様も笑っているではないかブホォ!」

「オメーもな、ってかもう耐えらんねェ…!」


「「「ぎゃははははははは!!!!!」」」


「いくらなんでも兎はねェだろ兎は!」

「いやでもアイツああ見えて意外に淋しがりやさんだからね!ノミの心臓だからね!」

「そーいや昔も一人で留守番とかさせたら拗ねてたっけな〜」

「ぶっは!あったあったそんなん」

「アイツの鉛筆隠したこともあったな」

「ああ!そんで俺らあの後暫く口利いてもらえなかったもんな」

「お気に入りだったんだよアレ。だってハムスター柄だったもん。当時の人気アニメな」

「クールに見えて実はアツイ!」

「座右の銘は淋しがりか」

「アンタいつまでそれひっぱんの?」

「何にしろ俺このネタであと3日は笑える気がする」

「ぶふっ!わ、私も」

「俺も」


「アッハッハッハ、何か言われちょるぜよ晋助」

「「「……………は、」」」


「………(どーん)」


「…た、高杉君」

「いつからそこに…?」

「随分前からいたぜよ。おんしらが勝手に馬鹿笑い始めるくらいから」

「「「(全部筒抜けェ!?)」」」


「クク…急に呼び出すから何かと思えば…随分と好き勝手言ってくれてるみてェじゃねーか」

「ち、違うよ晋助!これは私じゃなくて、ぎ、銀時が」

「あっテメー何責任転嫁してんだよ!俺じゃねーよヅラだよヅラ!銀さんはちょっとノせられちゃっただけ〜みたいな〜」

「一体いつの時代の女子高生だ貴様!違うぞ高杉。俺は断じて違う。原因はやっぱりそっちで」

「何だっていい。とりあえずお前ら纏めて血祭りに上げてやるからな」

「わ、私無理!今日はアレ…女の子の日だから!」

「どんなスルー方法!?じゃあ俺も女の子の日で」

「テメーらがどうやって女の子になれんだよ。いい加減にしねェとマジで叩っ斬るぞ」

「え?今“ら”って言った?私の性別も否定かコノヤロー」


「まァまァ座るきに!折角久しぶりに会うたんじゃ、今日くらい物騒なモンはしまってゆっくりするぜよ!」

「辰馬の言うとおりだぞ貴様ら。いい加減大人になったらどうだ…あ、この酢漬け美味いな」

「「ヅラァァァァァ!!!!」」


「オイブス。今日はテメーの驕りなんだろ?この店の商品片っ端から持ってこいや」

「キー!色々否定したいのにどっからツッコむべきか迷うんですけど!」

「オススメはアレ、冷奴だよ」

「銀時お前はこの店の一体何を知ってるって言うの。しかもそれ私の手全く加えられてないモンじゃねーか!」

「当たりめェだ俺は命が惜しい」

「てめェェェェェェ!!!!」

「じゃあ俺もそれで」

「ちょ、晋ちゃんンンン!?」


(結局冷奴が出て来る)


「チクショー…お前らなんか私が帝国ホテルの三ツ星シェフになった暁には全国のホテル旅館前面立ち入り禁止にしてやっかんな。精々身を潜める時に居場所に困れバーカ!」

「オイテメーそれ随分と嫌がらせの範囲狭まってんじゃねーか」

「そうだなー。基本対高杉みたいな?俺んとこほとんど旅館なんて行かねーし」

「行けないの間違いだろーが」

「チ…ッ、これだから非生産的な下等階級は…!」

「まぁまぁ色々あるでしょーが呑みなさいよ」

「何でヅラが仕切ってんの。つーかカウンターに入ってくんな」

「いいではないかマスター。因みに俺は全国のホテル旅館お泊りフリーパス券が欲しいなどとは思っていないからな」

「それ仮定の話だろーが何マジになってんだよ」

「ヅラァ、てめェ俺の食うものに少しでも関わったらその頭の異物はいでやっかんな」

「ヅラじゃない桂だ!」

「「「うっせーよ」」」


「アッハッハ。おんしらのツッコミを揃いで聞くのも久しぶりじゃのー」

「あー、そーいやそーね」

「おいモジャモジャ、俺をこいつらと一緒にしてんじゃねェぞ」

「はーい私もそれ同意見。少なくともこんなナンセンスではない」

「オイオイオイ全国ハイセンスコンテストの地区予選で三回戦まで行った俺にそんな口利いちゃうわけ?」

「何だよそれどんなコンテストなんだよ対決方法からして分かんねーよ。つーか地区体三回戦ってショボくね?」

「バカと話すとバカが感染らァ」

「じゃあ高杉と話すとヘタレとエロが感染る」

「誰がヘタレだ誰が!」

「エロは否定しないんじゃな」

「だってこいつ年がら年中着物の前肌蹴さしてんじゃん。ぶっちゃけどうツッコもうか困るよね」

「そうなんだよなァ。こないだだってさァ、構って欲しさに色々騒ぎ起こしてたしさァ」

「な…ッ!」

「ああアレな。お陰でエリザベスの服が一着お釈迦にされてしまったんだぞどうしてくれる」

「え、アレやっぱ服だったの?中にオッサン入ってたの?」

「オッサンじゃあないエリザベスだ!エリザベスはそれ以上でも以下でも、ましてやそれ以外の何者でもない!」

「あ、お銚子一本追加じゃー」

「はーいはい、てか辰馬アンタ酒癖悪いんだから程ほどにしときなよ?」

「アッハッハ、わしゃ酒は飲んでも飲まれはせんき」

「思っくそ飲まれてるやつの台詞じゃないよね」

「つーか誰も構って欲しくなんかねェよ!」

「随分遅いツッコミだなオイ」

「察してやれ銀時。高杉は何やかんやで寂しがりなんだぞ」

「ブフッ!そーいや兎さんだもんなァお前」

「ばっ、バカ銀時!笑いがぶり返すからやめ…っグッホ!」

「グッホって何だグッホって。仮にも女がオッサンみてーに咳き込むな」

「ふふ…惚れた?」

「いや何で?」

「ほれ水じゃー」

「ありがと辰馬…(ゴクゴク)…ぷはあ美味い。だけどとりあえずコレは水ではなかったね」

「おい誰だコイツに一升瓶持たせたの」

「クク…祭りはこーでなくちゃなァ」

「ぎゃァァァアンタそれェェェ!!!」

「あン?」

「うっ、うちで一番高いお酒!倉庫の奥にしまってとっといたのに…いつの間に!?」

「ククク、テメーの裏をかくなんざ造作もねェこった」

「手癖の悪さは相変わらずだな」

「てかそれ独り占めすんなや。銀さんにも一口」

「やめろっつってんのが聞こえねーのかこのチンカスぅぅぅ!!!」

「「ごへァァァ!?」」

「これはうちの家宝なの!私の命なの!」

「おいおい曲がりなりにも女が酒を命とか言うなや」

「コイツ昔っから酒好きだもんよ」

「とんでもない酒豪だな。もうザルっていうかワクの域だぞ」

「あーあ…私のお酒ちゃんがこんなに少なくなって…」

「いーじゃねェのちょっとくらい」

「いくないの!」


「まァまァおまんら落ち着くきに」

「いやまずお前が落ち着けよ」

「んー?金時おんしゃ異様に細長くなったのー」

「おいバカ、そりゃ柱だ。俺ァこっち」

「ヅラはまた随分とピカピカになったのー」

「その言い方は何か誤解を招くだろうが!それは薬缶だ!そしてヅラじゃない桂だ!」


「アッハッハ、無礼講じゃき許せ」

「何だコイツ笑って済むと思ったら大間違いだぞ」

「うううお酒…」

「まだ言ってんのか。ケツの穴の小せェ女だ」

「うるさい万年発情男。性病に罹って病院に運ばれろ」

「んだとテメーこそこんな寂れた店で負債抱えて首が回らなくなれ」

「やんのかコラ」


「まァまァおまんら落ち着く気に」

「またかよオイお前もう酒離せ」

「そーゆう銀時こそ顔真っ青だぞいい加減やめんか」

「うるせェまだまだなんだよぼろろろろろ」

「ぎゃァァァァ店内でリバースしてんじゃねェェェェェ!!!!」

「おわっ!馬鹿しがみつくなテメェ重…ッ!!」

「うぉええええ…気持ち悪…」

「馬鹿者ちゃんとエチケット袋は鞄に入れときなさいって言ったでしょーがぼろろろろ」

「「ぎゃァァァァァァおぼろろろろろ」」


「アッハッハ、まるで祭りじゃぼろろろろろ」




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