003の指示に従い、002と004は基地内への侵入を果たしていた。
009達の奇襲が成功し、兵士たちは混乱している。突破は容易そうだ。目的は開発データと基地の破壊である。

『待って』

突然、003が何かに気づいた。

『地下があるわ。――ああ、なんてこと』
「なにがある」
『人が、』

それがただの兵器であればどれほど良かったか。

『改造されて眠っているわ。…三人よ』




他のメンバーと合流する予定を変更し、002と004は別行動を開始した。やたらと頑丈な造りの扉が二人の前を塞ぐ。003の話によると、この先に地下へと続く通路があるそうだ。
この扉を破壊するのは骨が折れそうだ、と思っていたところに、運よく逃げ遅れた科学者を捕まえることに成功した。
「嫌だっ、殺さないでくれ!」

侵入者にひどく怯えた科学者の男は、まだ若かった。その首筋にレーザーナイフを押し当てて、004は低く唸る。

「この扉の解除コードを教えろ。そうすりゃ殺さないさ」

男はナイフを気にしながら僅かに首を振った。

「お、覚えてない…」
「覚えてない?」
「本当に覚えてないんだ!い、い、一度入ったことがあるだけで…ただの倉庫だぞ!?」
「そんなはずないだろう」

ナイフを首筋に滑らせる。皮膚が僅かに切れて血が滲んだ。

「ひっ、ま、待ってくれ、いま思い出す…待って…」
「まどろっこしいぜ、何やってんだよ!」
『僕にまかせて』

恐怖に引き攣っていた男の顔が、とろんと呆けた。そのまま脱力してくたくたと倒れ込む。

『彼の記憶から解除コードを引き出したよ』

はじめっからやってくれよ、と、男の顔を一発殴ってやろうと拳を固めていた002は思わずため息をついた。
1の番号を与えられた子供は003の腕の中で「ごめんね」と笑う。

『003には009達のサポートに集中してもらう。君達は僕が代わってサポートするよ』
「そりゃドーモ」
『早速だけど敵がくるよ』
「なにっ」

途端、鼻先を銃弾がかすめた。

「おわぁっ」

慌てて壁に張り付いて応戦する。兵士が押し寄せてきていた。

「002、先に行け!俺が食い止める!」
「おう!」

001の言う通りにコードを打ちこむ。頑丈な扉がゆっくりと口を開いた。その隙間に身体を捻じ込んで先を急ぐ。

「001、どっちだ!?」
『付きあたりを右へ。誰もいないみたいだ。…改造された三人以外はね』

わざわざ走っていられない。足のエンジンを稼働させ、狭い通路を飛んだ。
銃声が遠くなって、ついに聞こえなくなった。

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