伝えたいこと正反対



八万hit企画作品/梗様へ




「貴方はほんと何で昔から私の行くところに一々着いてくるんですかね」


「着いていく?…そんな訳あるわけ無いじゃないですか。逆に貴方が私に着いてくるのでは」




廊下を早歩きしながら嫌味を言うそうすると当たり前のように嫌味が反ってくる、もう当たり前だった。…それにもう正直言うと嫌気が差していたメフィストにではなくメフィストにそんなことを言ってしまう自分に




「、嫌なら構わなきゃいいじゃない」


「それは貴方もでしょう?」




それはそうだ、でも。こんな風に嫌味とかしか言えない関係でも…一緒に居られるのなら構わない、でもそれをメフィストに言えないからずっとこんな風なんだ



「……ほんと、馬鹿みたい…こんな無意味な関係…」



「…何か言いました?」


「なんでもないです。ただメフィストがいつ私を解放してくれるか嫌気が差しただけ」

「偶然ですね私もそう思ってましたよ」



嫌な笑みを浮かべながらそう言ったメフィストに解っていたはずなのに、こんなの慣れているはずなのに酷く心が傷んだ。…私が素直になればいい話なのに、でも素直になって思いを告げるとする…それでも嫌われたら?それが、それだけが私にとっては酷く恐ろしかった



「…名前?」



「なんです、か」


「気付いてないんですか…、…泣いてますよ?」



バッ、と目元に腕を持っていく。…本当だ泣いてる…なんで…、状況が理解できずに涙を抑えることもできないままただ思考が混乱する。すると涙を手袋をはめた大きな手が頬を包んだ



「…え…?」


「…不愉快です。私の前で涙なんて見せないで下さい」



そういっているメフィストはどこか悲しそうな、不機嫌な顔をしていた。突然のことに驚いた私の涙はどこかに引っ込んでいて…メフィストの前で泣いてしまった恥ずかしさと素直になれない自分の性格が渦巻いていた




「っ、め、目にゴミが入ったんです!あ、後さっきのは忘れるようにっ!」


「それは無理な相談ですねえ」



「っこ、の…だから嫌いなんです!」

「私は…」



勝手に出てきた言葉を止める事も出来ないまま私はメフィストの言い掛けた言葉を聞かないまま背を向けて走った。…そう。逃げた。その後言われる言葉が怖くて
本当は正反対のことを言いたいのにっ!





「…私は、好きなんですがね…」




ポツリと呟かれた言葉は私の耳に入ることはなかった



―結局二人とも素直じゃないだけだった





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