消えぬ愛を胸に



八万hit企画作品/つばき様へ




学園に立つヨハンファウスト邸…つまり私の家には自分以外に二人住んでいる。一人は私の妻である名前ともう一人はそんな名前と私の子供だ



「わ、また泣いてる…。…どうしたのー?」



まだ子供も二歳だから泣くのは分かる。分かるのだが最近はずっと名前が子供に掛かりきりだった


「名前。少し休んだらどうです?」


「…え?大丈夫ですよー」



にっこりと笑い断れてしまった。なんだがそれが無性に面白くなく椅子に深くもたれ、指を宙に少し上げて…


「アインス ツヴァイ ドライ」


「!な、っ…」




彼女が抱いていた我が子はベッドに寝かせて名前はというと私の腕の中に居る。驚きを隠せないのか暫く焦っていたが状況を理解した名前は深いため息をついた



「…、もう…子供が起きたらどうするんです?」


「問題ないですよ。貴方が騒がなければ」




後頭部に腕を回して顔を引き寄せる…首元に唇を寄せると自然に名前の香りが香ってきた。ただそれだけのことに酷く安心できる



「くすぐったいです」


「我慢してください。…最近はずっとこういうことをしていなかったですからね…」




名前は観念したのか力を抜いて仕方ない、とでも言うように笑った。そうして重なった唇にやはりくすぐったそうに身をよじる名前にたまらない愛しさがこみあげてきて…



「愛しますよ、」


「…私も愛します」




それ以上のことはする気が起こらず力を入れたら壊れてしまいそうな名前の身体を優しく抱き締めた




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