愛がいっぱいです!



アクタベさんの事務所でお手伝いをしている私はいつものようにそこに向かっていた。そして扉を開けたら我が物顔でソファーに座りお茶を飲んでいる白衣を着た金髪の美形さんが…


「え、と…どちら様でしょうか…」

「おや、名前さん。こんにちは」



普通に挨拶をされてしまい戸惑いながらも言葉を返す。…いやだから誰なんだ!



「依頼人の方でしょうか…?」


「はあ?貴方もしかして私のことが分からないのですか!」

「…いや、だから聞いてるんです!」



何やらブツブツ言っているが聞こえないことにしよう…すると美形さんはソファーから立ち上がりツカツカと私の方へと歩いてきた


「っな、なんですか!」

「いえ。いつも見上げているので見下げるのは気分がいい」



見上げる?……まっ、まさか…いやこんな美形さんがそんな…いやでも今は人を見かけで判断しては駄目だから…


「ストーカー…ですか?」


「なに有り得ない勘違いしてるんだ!誰がお前なんかストーカーするかよ!」

「…あ」



敬語・汚い言葉遣い…この2つを使っていてなにより私をいつも見上げている…



「ベルゼブブさん!」


「…やっと分かりましたか」




…どうやらアクタベさんの手で一時的に魔界の姿になっているらしい。それにしても美形さんだな…いつものベルゼブブさんといるより倍緊張する



「なんですか、そんなに私の姿が気に入りました?」

「っな…ち、違います!」

「真っ赤ですが」



ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら赤くなった顔を見ようとしてくる。…ああ、近い!



「近い近い近い!」


「私の顔が好きなんでしょう。近くで見れて光栄じゃないですか」

「…自意識過剰ですね」


「なんですって!撤回だ!撤回を要求するっ」



ピギャーと言いながら怒りだすベルゼブブさんはやっぱりいつものベルゼブブさんで…容姿なんて関係ないんだな、うん



「ねえ、ベルゼブブさん。今日はカレーにしますから許してくれますか?」


「…ふん、仕方ないですね。私は心が広いですから」


「あーはいはい。そうですねーじゃあ、作りましょうか」



元々カレーにしようと思っていた私は買ってきた材料を台所へと運んでいった。ベルゼブブさんは文句を言いながらも手伝ってくれるようだ




「好きですよ」

「…は、?」



「名前さんのカレー」



…多分私は今までに無いくらいに赤くなっているのだろう…そんな、カレーに負けた?


苛つきで私はベルゼブブさんのカレーを特別に辛くしてみた
夕飯、皆普通に食べているのに辛いと言っているベルゼブブさんに水すら出さなかった





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