側にいるそれだけで幸せです



八万hit企画作品/ベニオ様へ





夏目様は偉大なお方です。私のような下級妖怪にもお優しく…そして友人帳を使って妖怪達の名前を返しているのですから


―そんな彼に私は恋心を抱きました。人間と妖怪という立ちはだかる壁が大きすぎるのに





「…夏目様、」


「名前。…どうした、こんな夜中に?」




夜、夏目様が居られる住居へとやってきました。迷惑だったら直ぐに帰ろうと思って居ましたが夏目様は快く私を迎えて下さいました


「あ…、夏目様…ごめんなさい…こんな夜更けに…」


「いや、大丈夫だよ。それより珍しいなどうしたんだ?」


「…は、い…実は…」




言い掛けた言葉を彼の部屋を見回していると切った。そう言えば斑様はどうしたのだろうか?
そのことを聞くと夏目様は呆れたように宴会に行ったとおっしゃいました



…ということは夏目様が危険?



何故かそういう思考に走った私は夏目様との距離を詰めて両手を掴んだ




「あ、あの!…私のようなものでは訳には立たないと思うのですが…っ。宜しかったら今日だけ夏目様をお守りさせてくださいっ…!」



「…え?」




驚いたように目を丸くしている夏目様を見て私は我に返って慌てて必死に謝りました
すると夏目様はクスクスと笑いだし優しく微笑むと「じゃあよろしく」と言ってくださりました






「夏目様!この命に変えても名前がお守りいたしますねっ」



「ああ、期待してる。…あ、俺は寝るけど…名前はどうするんだ?」



「…へ…?」




「いや、ニャンコ先生の変わりなら一緒に寝ないと。…それに近くのほうが護衛もしやすいだろ?」




と、どいうわけか私は夏目様と同じお布団に寝ることになりました…。おずおずと入ることを躊躇っていると夏目様に腕を引かれていつの間に抱き寄せられ布団に入っていました




「…温かい…」


「あ、あの…っ…!」


「…ん…?」




身体中の体温が一気に上昇してどうしたらいいか分かりませんっ!夏目様の綺麗なお顔がすぐそばに…っ




「…名前の髪は柔らかいね」


「…ひゃ…っ」



優しく髪を撫でられて体を縮める。そのことに可笑しそうに笑う夏目様はわたしを撫でる手を止めない…。彼の手は優しくて安心して…急激な眠気が私を襲ってきました





「…名前…、?」



「……」




「寝ちゃったか。護衛なのに……ふふ、可愛い…な、…おやすみ名前」





朝、起きた私たちを斑様がからかってきましたが…私は恥ずかしさと幸せさでどうしたらいいか分かりませんでした
でも、とても満たされていたことは分かります




ああ、…やっぱり、大好きです。夏目様



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