甘いお菓子と紅茶 10000hitリクエスト作品 黒子様へ 広くて日当たりのいい草原にテーブルと椅子をセッティングする。女である私一人で なにが悲しくてこんないい天気にこんなことをやっている…いや、やらされているのかと 頼まれたのだ、メフィストに。 その頼んだ張本人は後から来るからちゃんと用意しておいてくださいね、だなんて言っていた…そんな言葉に苛立ちながらもティーセットを持ってきたりなど案外私も楽しみだったりする 「やあやあ、晴天ですなっ!」 「あ」 噂をすればなんとやらと言ったところだろうか。いつの間に居たのかは知らないがすでに私が置いた椅子に座っていた 「正に外でお茶をするのに相応しい日ですね!」 「…はあ、そうですねー」 水筒に入れたお湯をティーポットに入れながら曖昧な返事をする…そういえばこの人お菓子は用意しなくていいと言っていたがちゃんと持ってきたのだろうか? 「あの、メフィストさんお菓子は…」 「持ってきましたとも。それより早く紅茶をお願いします、私は何も入れなくて結構ですよ」 ティーカップに紅茶を入れてメフィストさんに渡す。すると彼はどこから出したのか袋を取り出しそれを開くと色とりどりのクッキーが入っていた 「わああ美味しそうですね!」 「そうでしょう?何ていったって私の手作りですからね」 「へー、手作りなんですかー……え?」 手作り!?これがっ… その事実を知ったとき私は無性に落胆した…いつもいびつな形になってしまう私のクッキーなんかより比べものにならないだなんて 「なに落ち込んでいるんです、貴方はお茶を入れるのだけは巧いのですからいいじゃないですか」 「だけってなんですか!!」 「おや、気付いてしまいましたか☆」 まあ、誉められたのだから喜んでもいいのだけれどこの人相手ではなんだかそれもできない… とりあえずクッキーを手に取り口に含む。 「味まで完璧、だなんて…」 「当たり前でしょう。まあ、私の作ったお菓子を食べさせるのは名前が初めてですよ」 「ふええ、そうなんでふか」 はしたないですよ、だなんて正論をメフィストさんに言われてしまった…恥ずかしい…… 草原に気持ちいい風が吹く、うん。いいなこういうの…相手がメフィストさんじゃなかったらもっとよかったのかもしれないけど 「メフィストさん」 「はいなんでしょう?」 「またやりましょうね」 メフィストさんはキョトンとした表情になると直ぐに口元を吊り上げ「私の気が向いたらですがね」と涼しく言い放った… 相変わらず苛立つところもあるが口の中に広がる甘いクッキーの味を堪能していたらどうでも良くなってしまった 気が向かなくてもまたここで私が先にきてセッティングをすれば貴方は来てくれるだろう 甘い甘いお菓子を持って END...menu |