仕組まれた罠と獲物 ドシャ、いやベシャ、のほうが正しいだろうか?とにかくそんな音を立てて私は盛大に地面に顔がくっついた。地面といっても部屋だから床なのだが…何故そんなところで転んだのか。私はドジではない自信はあるし、何より祓魔師であるからそれ相応の体力もある 「おやおや、名前さん大丈夫ですか?」 「っこ、の…!」 "また"性懲りもなく私を転ばせた張本人を急いで起き上がり睨み付ける。自分の上司であるメフィスト・フェレスは何故か私にこうした嫌がらせをしてくるのだ 「…、フェレス卿いい加減にしてくれませんかっ?」 「何をでしょうか?私が偶々足を伸ばしていたところに貴方が歩いてきて勝手に転んだ…それだけでしょう」 屁理屈を並べられて言い返す言葉が無い私はただ押し黙る。ああ、悔しいような苛つくような…この気持ちはなんなんだ 「そうだ。名前さん今度の休みは無しになりました」 「っえ?…ま、またですかっ!」 今度の休みは奥村くんに買い物しないかと誘われていたのに…ああ、そういえば私が休日に誰かと出掛けようとするとフェレス卿から休みは無くなったと言われている気がするのだが… 「絶対分かってますよね」 「…さて、なんのことやら。」 いつもの笑みを浮かべるフェレス卿への苛立ちを隠すようにして小さく礼をして扉へと向かう。何だかまとわりつくような視線を背中に感じながら思い切り扉を閉めた END...menu |