紅唇が紡ぐ残酷な運命 ※流血 地面に足が付いているのか、なんてことすら頭で考えられないほどに走った。息はもう途切れ途切れで瞳には涙が浮かんでいた 逃げられた…と安心しているとその刹那、後ろから伸びてきた腕に体の動きを停止させられた 「…っ!」 「捕まえました。鬼ごっこはお仕舞いですか?」 「っや、離して!」 「ああ、暴れる名前も可愛らしいですが…」 ガリッ、と思い切り首もとを噛まれた。ジクジクと広がる熱。首筋には赤い血が流れている…悪魔を引き寄せるらしい私の体は、一体他の子と何が違うのだろうか? 「…ぁっ…や…!」 「私は人間では無いです。自分の行動に忠実な悪魔ですから…」 滴る血は止まるわけもなく回りを赤く染めていく。痛みは麻痺してしまっているのかあまり分からない…何かが体を侵食してくるような感覚に吐き気を覚えた 「ああ…勿体ない。貴方の甘美な血を一滴でも無駄にするなんて」 「っ、ふっ…ぅ…」 傷口を更に抉るようにしてジクジクとした感覚が広がる…もはや力では適う訳もなくされるがままになっていた 「理、事ちょっ…」 「名前が居なくなるのは嫌ですが…貴方を一欠片も残さずに食べてしまいたい」 緑色の瞳は熱を帯びていて自我を忘れているようにも見えた。それほどに彼は狂ってしまっている …狂っている、なんて貴方に似合わない言葉…どうしてこうなってしまったのだろうか END...menu |