その笑顔は反則です 30000hitリクエスト作品 ほむら様へ 昼間の穏やかな部屋に硝子の割れる音が盛大に響く。原因は彼女を知っているものならわかっていることだろう…それほど迄に名前は鈍いのだ 「あ…ぅ…っ、また…!」 「これはまた盛大にやりましたねえ」 「メフィスト様っ…!す、すみませんでした…っ」 この少女の雇い主でもあるメフィストの突然すぎる登場に慌てて謝る。 「いえ、大丈夫です。それより怪我はしていませんか?」 「平気…です…」 「それはなにより。ああ…片付けなければ」 「!わ、私がっ…」 急いでしゃがんで硝子を素手で取ろうとする彼女をメフィストは制止する。 名前に片付けなどさせれば怪我をしてしまうのがオチだろうと思ったのだろう指を鳴らして床に散らばった硝子を片付けた 「……ほ、本当にごめんなさい…」 「何故謝るんですか。名前は実に一生懸命にやってくれている」 「…メフィスト様、」 いつもいつも失敗してしまう私を決して怒らない そんなメフィストに名前は涙腺が緩む…それを堪えながら名前は勢いよく立ち上がる 「待っていて下さい!美味しいお茶を入れてきますからっ」 「…楽しみにしていますよ」 「はいっ、メフィスト様はそこでまっ……っ!」 やってしまった…そして考えが甘かった…と二人は交互に思ったのであった 彼女の鈍さは簡単に直るものではなく生まれたころからの天性なのだろう 自分の足を踏んで転ぶだなんてそんな王道なことが目の前で見れるだなんて…と思いながらも転んだ体制のままの名前を立たせる そしてその顔を覗き込むと泣いていた 「、っも…ほんと…うっ…」 「名前。泣かないで下さい、ほら貴方には笑顔が合いますよ?…それとお茶なら私が用意しますから」 「…そ、んなっ…メフィスト様に面倒ばかりっ…!」 「面倒なんかじゃありませんよ、ほらお茶飲みましょう?入れて下さいますか」 「…わ、かりましたっ…」 必死に涙を押さえながらティーポットを手に取り慎重にカップに注いでいく…落ち着いてきたのか手付きは手慣れているものだ 「やはり名前が入れたお茶が一番いい」 「あ、ありがとうございますっ…」 赤く腫れた目でふんわりと笑う名前をみてやはり笑顔が似合うと思った。 そして彼女につられて笑う表情を隠すように一気にお茶を飲み込んだ END...menu |