私のいとしいおひめさま 「夢をみる青」様企画提出作品 ※狂愛 私とメフィストは世間でいう婚約者同士で、メフィストは私のことを気に入っていた。だからこの結婚は皆が上手くいくと思われていた ヨハン・ファウスト邸 そこでメフィストが殆ど一日を過ごす部屋に私も居た 「メフィスト様、いい加減此処から出してください」 「…何か必要な物が?言って下されば買いに行かせますよ」 「、違います。必要なものがあるわけじゃなくて…私は貴方と居るのが嫌なんです」 メフィストは財政力や権力持っている…その人が直々に両親のところへ私を貰いに来たのだから断るわけがない。そう、本人の意見など関係が無いのだ 「悪魔なんて大嫌いです」 「そうですか」 「っ…大体何で私なんですか!貴方が言いさえすれば幾らでも女性が見つかるでしょうっ」 感情が剥き出しになっている私を他から見たら相当情けないことだろう。そんな私をみたメフィストはゆっくりと口元を歪ませた 「怒らないで下さいよ。せっかくの綺麗な顔が台無しだ」 「お世辞なんかいりません。質問に答えて下さい」 …パチン、と静寂に包まれた部屋に音が響いた。その瞬間後ろの扉の鍵は閉まりカーテンも一瞬にして閉じられたのだ。部屋は暗闇になり瞬間的なことでまだ目が慣れない… 「っ…メフィスト!」 「静かに。……ああ、初めて呼び捨てで呼んでくれましたね…、嬉しいですよ?」 いつの間に私の傍に来たのやら後ろから抱き締められた…気配も音も無かったのに 「本当に貴方は愛おしい」 「私は貴方を愛してない、だからこの結婚は成立しな……はっ…?」 ガチャンと何か付けられる。手首や足首に重みを感じて直ぐに何をされたのか理解した…そして今までに感じたことのない感情、 逃げろと本能が告げる 「メ…フィス、ト…?」 やっと暗闇に慣れた私の瞳が写したものは獣…いや、悪魔のような彼… 愛しいものに対して向けるには本当に歪んでいる感情が恐怖にしか感じない ―だから悪魔なんか嫌いなんだ そんなことさえ届かなくなってしまうのだから… END...menu |