聖なる魂が汚れていく 森のなかに小さい教会が静かに建っている。そこはもう古びていて人の気配はしなかった ギイ、と軋む音がする扉をそっと開ける。日の光に神を想像されて作られた像が照らされている その神の像の前には黒い服に身を包んだ少女がいた、彼女はここを守っていた両親が死んでしまってからも一人で教会を守り続けている そんな少女を興味本位で見に来ているのだ 「名前」 「…フェレス卿。お久し振りですね」 ふわりと花のような笑顔で振り替える彼女は人を疑う事を知らない無垢な少女だった 私を悪魔だと気付かず、たまに顔を見せてくれるいい人と思っているらしい 「…また祈っているのですか?」 「はい。神は祈らなければ消えてしまいますから…それにフェレス卿に出会えたのも神のお陰だと思うのです」 神という存在を肯定し、神に全てを捧げている名前は魔障を受けたことはない。その彼女が魔障を受けたらどうなるのか? 実に興味があった… 自分以外の悪魔を送り込ませても良かったが他の奴が彼女を傷つけるだなんて吐き気がした 「貴方は悪魔がいると思いますか?」 「悪魔……はい、居ると思います…しかし、神が守って下さいますから。ここに居れば問題ありません」 「そうですか」 その彼女が祈りを捧げている教会内に私という悪魔が入るのだが…と思うと実に滑稽な話しだ。 手から手袋を外してゆっくりと名前の元に近づく彼女は逃げる素振りも怪しがる様子もない そして、真っ白で細い腕をそっと掴んだ。少し力を入れただけで折れてしまいそうな腕 「フェレス…卿?」 不思議そうに見上げてくる名前に微笑みながら爪を皮膚へと食い込ませた 悲痛の声が短く聞こえたと同時に少女からは微笑みが消えさり絶望した表情になった…瞳は潤み体が震える そんな少女が見たものは…? END...menu |