曖昧な愛情








人生に興味がなかった、
自分にも人間にも美しい景色や音楽、作品もなんの感情も湧かない

…はずだった
なぜ過去系かというと興味が湧いてしまったのだ。いつも出会う彼に



「ん?…ああ、また君か」



「こんにちは。」




名前以外は何も知らない彼が気になって仕方がない
爽やかな青年という言葉がぴったりな容姿に透き通り聞きやすい声。何もかもこれまでの人生で出会ったことがない人間




「なに、また俺に会いに来てくれたの?嬉しいなあ」



「はい。喜んでもらって良かったです」



「…相変わらずだね」




なにが"相変わらず"なんだろう。よくわからない解答に頭を悩ませる



「名前ちゃんは、さ。なんでいつも俺に会いに来るの?」



「…迷惑なら言ってください。もう来ませんから」



「いや、違くて迷惑とかじゃなくてね?ただ理由が聞きたいだけなんだよ」




理由。意味を述べろと言うことか…理由はあまり無いただ自分が興味があったから会っているだけ。あと、会わないと…胸ら辺が痛むから…



「…それってさ…俺が好きなんじゃない?」



「え?」




好き。恋愛なんかしたこともないからこれが好きというのかがわからない…そう言うと彼が私を抱き締めてくる





「折原さん?」



「試してみようか。ねえ、心臓ドキドキしてない…?」



「…っ」



耳元でそっと囁かれる…私の身体が小さく震えると折原さんに笑われた
彼がいった通り私の心臓はドキドキしている。そして何故からが分かったのか私には分からなかった



「名前ちゃん。俺も君が好きだよ?…そうだ…、言ってなかったかな。俺は人間が好きなんだ、特別に誰か一人を愛することはない。だから名前ちゃん一人を好きになることはない」



「ああ、そうだったんですか…」


驚くほど落ち着いている…世間でいうとこれが振られた、のだろうか。しかし私はスッキリしていた



「人間として好きなら嫌いじゃないんですよね?嫌われてないなら…いいです。」




少し驚いているのだろうか?
目を少し見開いている
そしていつもの表情に一瞬で戻ると笑いながらいった


「本当に、君は人間らしくない人間だな」









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