無謀すぎた鬼ごっこ



八万hit企画作品/柑橘様へ




池袋、私がもっとも会いたくない人に会う可能性が高い場所。元々昨日までは来る気は全然なかったんだ…なんだか古傷が痛む気がして私は服の上から強くその場所を押さえ、流れるように交互に歩く人ごみに吐き気を感じて足早になる…「早く帰ろう」そう思いも直ぐに適わなくなった。私が最も望んでない最低の形で
ドン、と思い切り人にぶつかり思わず目を瞑る。その瞬間どくんといやな予感がして身体中に一気に悪寒が走る



―目を開けてはいけない





「…名前…っ、」



「、…ぁ…臨…也…さ…」





当たってしまった…目を開けた目の前には最も会いたくない折原臨也の姿。臨也は私をみた瞬間それが当たり前のことのように笑顔になった…まさに今の私とは正反対だ



「名前!…久しぶりだね」


「、ぇ…う…ん…」




「ほんと懐かしいなあ。…あ、傷残ってる?」





当たり前のように持ち出された傷の話し。一瞬でもまともになったんじゃないかと思った私が浅はかだった







「…ねえ、名前。何で君は今池袋に居るんだろうね?」




"何で"…そんなの偶然…、そう思ったとき臨也の性格、行動を思い出す。ああ…偶然なんかないのか…。そう全ては臨也が仕組んだ必然だったのだ





「…そう、正解。君の考えは正しいよ。俺が今日ここに名前が来るように仕向けたんだ」



「っい、やだ…よ、な…んで…」



体が怖いぐらいに震えるそんな私を優しく臨也が抱き締める。そしていつの間にか私の体は大通りあったはずなのに人気のない路地へとあった






「君が居なくなったあとよく考えたんだよ。…名前…やっぱり俺は君が居ないと駄目みたい」




「っ、…!」





服の中に勝手に手が入ってきて古傷を撫でられる。危険だと頭の中で警告がなって…瞳からは涙が流れる




「ああ…可愛いなあ…。本当に可愛い」




「い、ざや…さん…っ」





まるで蜘蛛の巣にかかった獲物のように体が動かない。臨也に傷を撫でられる度にぞくりと鋭い痛みが走って…



―酷いよね、この傷は貴方が私を刺したから出来た傷なのに




「ああ…、だから決めたんだよ。君が居ないとだめなんだからもうこれからずっと傍に居ればいいってね?」





赤い瞳が私の瞳を捕える。…ああもう逃げられない…
絶望した私の瞳に流れる涙を臨也は舌で舐めた






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