重い愛を下さい




月の明かりだけに灯された部屋に私はいた。真っ黒な皮のソファーに寝転んでいて…
ぎし、と音がしたそして窓へと向けていた視線を天井へと移す


「…」


「あれ、無反応か」



にこり、と爽やかな容姿をしている折原臨也がいた。
笑っているが心中では何を考えているかなんて解るわけがない


「なにしているんですか」


「なにをしてる…俺は何もしてないよ、まだ、ね?」



意味を含むように折原さんの赤い目が細くなり…口角も上がる。
背筋が凍る、怖い?
いや、何もされてないじゃないか


「君、…いや。名前」


「…っ」


折原さんは身を沈め私へと
顔を近付けてくる、心臓は自分でも驚く位にいつもの脈を保っている


「つまらないよ。君は人間なのにつまらない…人間の感情を出そうとしない」


「…気に入らないですか?」


「うん、とってもね」



私が感情を面に出さない理由、それは恐れているからだ。
感情を出せば隙ができるから


「まあ、でも。君が自分から感情を出そうとしないのだから…俺は無理強いはしないよ。
…はっきり言うと何時でも名前の感情を出すことはできるんだ」


なぜ、どうして?
そんな言葉が脳裏に浮かんだが口には出さず黙って目の前の男の言葉を聞いていた


「あ。なぜかと思ってる?
…それはね…君が自分から出してくれないと意味がないからさ」


「…自分、から?」


「そう。人間の感情を君が自分から出すんだ、そうすれば俺は今以上に君を人間として愛そう」



だからー…

ふわりとした仕草に目を奪われた。
優しく…優しすぎるくらいのキス。
一瞬だった動作がとても長く感じた


「人間への愛を君にも捧げよう」


真っ赤になって困惑している私に満足そうに笑う姿を見て…
とくり、と心臓が脈を打った







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