きみはいつも仮面を被ってるね



「無条件降伏」様企画提出作品





「ねえ、臨也大好き」


「うん。俺も好きだよ」


「嬉しい」




嘘。貴方なんか大嫌いだ、
嬉しくもないし臨也を好きだなんて反吐が出る

私の本当に大好きな静雄を傷付けて楽しんで…ここまで性格が歪んでいる奴に会ったことがない


だから私が臨也を傷付けてやるんだ。こいつが今までやってきたように



「…ねえ、いざ…」



「君さ、俺のこと本当は大嫌い、だよねえ?」




さっきまでの優しい表情を変えずに当たり前のように言われた言葉。…どうして、なんで…疑問ばかりが脳内を巡る




「…嫌いじゃ、ない」


「じゃあ君から俺にキスできる?」


「っ…、」




キスはいつも臨也からだった。私からは絶対にしない、したくもない…される直前に心を無に出来ないから




「なんでそんなこと言うの…」



「ちょっと君の行動を付けさせれば簡単に分かることだよ。」



そうだ、臨也は新宿の情報屋だ。そんなのたやすいことだろう…しかし私はどうしても、ここまで追い詰められても諦めるわけにはいかなかった




「…じゃあ、私からキスすれば信じてくれる?」


「へえ…、そうだなうん。いいよ?」




腕を広げる彼への距離を縮める、嫌な汗が頬を伝う…そして意識を必死に無にしようとする



だからだ、臨也がやったことに気付かなかったのは




「い、ざや…」


「…なあに?」


「大、好き…」


「うん」



あと、数センチ…。これでまた元通りに臨也に復讐ができる


お互いの唇が触れ合いそうな距離まで来たそのとき…




玄関の扉が盛大な音を立てて部屋のなかに飛んできたのだ
そしてその後に続く低い声



…え?



気付いたときには遅かった。頭の後ろに腕が回されあっという間に臨也と私の唇が重なる




「…、んっ…っ!」


「は、…やあ、シズちゃん。見てのとおり取り込み中なんだけどなあ。空気、読んでくれない?」




彼は、全て知っていて私と付き合ったのか。そんなこと…今更どうでもいい…



貼りついていた笑顔という仮面が音を立てて壊れ、た…







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