愛は脅威



※色々注意




水が勢いよく注がれる音が浴室に響く。思い切り腕を引っ張られそのまま浴槽にダイブ。


勿論腕を引かれたのだから自分の意志なはずがない



全身が浴槽に浸かり頭を押さえられていたら息ができなくて口を開けば肺に水が入る




「苦しい?まあ、我慢してよ」



いつもより低い声、不機嫌…なのだろう。だからといってこれはないだろう間違ったら死んでしまう


やっと頭を掴まれている手が外れて勢いよく顔を上げる。息を求めて酸素を吸うはずが咳き込んでしまった




「名前もひどいよねえ俺というものがありながらシズちゃんと仲良くするなんて」




酸素が足りなくて虚ろな意識のなか必死に思考を巡らせる。

どうしてこうなったのか

シズちゃん…?平和島さんのことなのだろうか。あの時は気分が悪いところを心配してもらって少し話しただけなのに…



「臨、也さ…」



「服、気持ち悪い?脱がせてあげようか」




口元を歪めその赤い瞳はどこを見つめているのか解らない
水で冷えきった体に張り付いたワイシャツのボタンを丁寧に一つ一つ外していく
抵抗する力なんて残るわけが無い



「これももういらないよね」




買ったばかりだというワイシャツを本人の承諾も無しにナイフを取り出して切り裂く
呆気なくただの布になってしまった



「…性格悪すぎ……」



「誉め言葉として受け取っておくよ」




やっと出た言葉もさらりと返されてしまった
こういうときは諦めが肝心なのだろうか
臨也さんの性格が直ぐに常識人になるわけもない…



そして力なく浴槽にうなだれている私をグイッといとも簡単に横抱きにする。この細身のどこにそんな力があるのだろう。


彼は自分の服までびしょ濡れになるだなんて考えていないらしくほぼ服を着ていないに等しい私を自分の寝室に連れていった



「俺はね、嫌いな物に好きな物を取られるとが大嫌いなんだよ。君がシズちゃんに触れられたなんて」




スカートのフックを呆気なく外される。そして、下着姿になってしまった…寒い寒すぎる…




「!…なに、積極的だね、君から抱きついてくるなんて」



「寒い、から…仕方なく…」



「仕方なく、ね?そういう事にしてあげる」




私から抱きついてきたことに驚いたのか少し驚いてみせる。すぐにいつも通りになってしまったが…そして抱きついている私の体を触り「冷たいね、可哀相に」だなんていう誰のせいだと思っているんだ




「温めてあげるよ」



「遠慮…したい」



「は?…君に拒否権はないよ。大丈夫、疲れるかもだけどすぐに熱くなるからさ」




背中に手を回され下着のホックを外される…

…ああ…。
もう止められないだろうと視界を閉ざすために目を閉じる





真っ暗闇のなか、赤い瞳が歪んだ。







END...menu




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