06

これ読んでみるといいかも


心の中では言えるのに、本人がいないところでは呼べるのに。いざ目の前にすると何も言えなくて、呼べなくて。昔は言えたのに意識なんてしないで普通に呼べたのに。

「…好きだよ」

ポツリ、呟いてみる。ほら言えた。

「円堂君…」

ほら呼べた。なのに円堂君がいると名前すら呼べなくて。鼓動がはやくなってのぼせたみたいに顔が熱くなって。このまま俺死んじゃうのかなってなる。

「ヒーロト!何してるんだこんなとこで?」

何てタイミングだろう。ぐっと手に力を込めて彼を見る。名前、呼ばなきゃ…。顔が赤くなっていくのが分かった。
円堂君、円堂君、円堂君…

「え、えんっどう、くん…」

「ん、どうしたんだ?」

言えた!どもった感じがありすぎだけど呼べただけでも進歩したと思う。

「あ、そうだ!」

何か思い出したのかパンッと手を合わせる円堂君。それから目線を俺に合わせて手を握った。

「え、え、?」

「ご飯できたから呼んできてって頼まれたんだった。行こうぜ、ヒロト」

ニカリ、太陽のような笑顔と握ったままの手。握られた手を伝って首、顔、耳、全身が熱くてのぼせたみたいになる。どうにか俯きながらうん、とだけ返した。
すると俺の手を引いたまま進む円堂君に慌てて足を動かしてついて行く。

「わ、円堂君…?」

「一緒に行こうぜ」

「う、うん。でも手は…」

「離したらヒロト止まりそうだから。遅れたら壁山に怒られるぜ」

そう言って前を向いた円堂君。引っ張られるように少し後ろを歩いてた俺には彼の顔は見えなくて。俺自身もいっぱいいっぱいで円堂君の顔が真っ赤になってただなんて気が付かなかった。



一瞬が絵になる



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短編にある円ヒロとつながってるっぽい。でもこれだけでも分かる。ヒロトも守もお互い大好きなんです


20110905




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