小説 | ナノ


何だか今すごく神童にちゅーしたい。表面と表面が触れるだけの軽いものじゃなくて舌ねじ込んで全部を奪うような深いの。丁度神童いるし2人きりだし。

「なぁ神童、キスしたい」

「…はぁ!?」

部誌を書いていた神童がバッと顔をこっちへ向けた。顔真っ赤だ。部活中の真剣なキリッとした顔も今俺の一言に真っ赤にして困ったように眉を下げる神童もどっちも好き。授業中のまじめな顔も情事中のエロい顔も泣き顔も好き。神童の全部が好き。あ、もっとちゅーしたくなってきた。

「なー神童ーいいだろ?」

「き、霧野ここ部室だぞ。いつ誰がくるかわからないし…」

「誰も来ないって。来たって見せつけてやれば?」

「お前な!」

顔が真っ赤なまま怒ってしまった神童。そんな神童も好き。俺は知ってる。どんだけ嫌がっても最後には俺のお願い聞いてくれるっていうことを。
ダメか?ってしょげたように聞くと、しばらく間をとった後神童は小さく頷いた。

「神童大好き」

「きり、ん…」

ふわふわな神童の唇に俺の唇を合わせる。はじめはちゅっちゅと触れ合うのだけしてたけどこんなんじゃ不満で舌を神童の唇にあてて口を開けるように催促をする。意図が分かった神童は少し開いてくれてそこから舌をしのばせる。

「ふぁ、んんっ…」

神童の鼻から抜けたような声とぴちゃぴちゃという水音が静まり返った部室に響く。もう何回もこの行為、それ以上のことだってしてるのに未だ慣れていない神童。逃げようとする舌を捕まえて絡めた。神童かわいい。
たっぷり神童を堪能して満足した俺はゆっくりと唇を離した。すると神童は力が入らないのか俺に体を預けるようにもたれかかった。

「神童…?」

「はぁ、はぁ、…さ、酸欠」

全速力で走ったあとのように肩で息をする神童に少し悪いなと思いながら落ち着くまで背中を撫でてやる。

「ごめんな」

「なんで、謝るんだ?」

「だって苦しそうだったしさ」

「確か苦しかったけど、」

いい、って言ったのは俺だしそれに気持ちよかったから。そう続けた神童の顔は真っ赤でしかもさっきの名残か涙目で。またちゅーしたくなった。でもさすがにかわいそうなのでその思いは心の中に秘めておこう。多分。



それだけのはなし



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発情霧野とデレ拓人

title by 自慰

20110824