小説 | ナノ


「カラオケに行きたい!」

何の用事もない暇な休日。することもなく自室のベッドに寝転がりながらゲームをしている俺のところにやってきたと思えば先の一言。

「…行けば?」

ちらり、バーンと効果音がつくくらいの勢いで開けられたドアを見るとネジが吹き飛んでいて今にもはずれそうだった。俺の部屋なんだけど。

「カラオケに行きたい」

「だから、行けば?」

「お前の名前を呼ぶつもりでドアを開けてみた」

「やめろよ。つか名前じゃねぇし、宇宙人ネームだし」

「カラオケに行きたい」

だめだ、会話のキャッチボールができてない。まずこいつ、風介にする気が無い。
ヒロトも大概だが風介の方が絶対電波だと思う。
無視を決めてゲーム画面に視線を戻す、と急に腕を引っ張られた。そして引きずられてベッドから落下。

「いてっ!」

「カラオケ…」

いくら高くないとはいえ落ちれば痛い。そんな俺を気にする様子もなく何度も小さくカラオケと呟きながらずるずると引きずる風介。体が廊下と部屋の境目に来ようとしたとき俺は慌てて口を開いた。

「き、急に何だよ!何があった?」

その言葉を待ってましたと言うように引っ張るのを止めてこちらを見る。そして手櫛で髪をときながら言った。

「ふっ、気になるのか?仕方ない答えてあげようじゃないか、実は−−」



所々に腹立つ部分があったがそれは置いといて。風介の言葉を要約すると、昨日緑川とヒロトが2人でカラオケに行った。その話を緑川から聞いて行きたくなったらしい。

「じゃあ緑川と行けばいいだろ?」

「遠回しどころか気持ちの悪いくらいの笑顔でのろけられたんだぞ。"ヒロトが俺のためにスターライン歌ってくれた"って。そんなやつと行きたいと思うか君は」

「…いや…」

緑川の真似をするときの風介の表情は死んでいた。多分、いや絶対緑川からあれ以上ののろけ話を聞かせれたんだろう。普段真面目で常識人だが一度のろけるとあいつは長い、そしてしつこい。
心の中で風介に謝っておこう、すまん。

「とにかくこの私が行きたいと言うんだ。行こう」

「いや、俺は…」

「どうせ暇だろう。さっきしてたゲームも以前クリアして飽きたと言っていたやつじゃないか」

「…よく覚えてたな」

風介は呆れた表情をしてふう、とため息をついた。いやそうしたいの俺だから。

「仕方ない、君のために甘ったるいラブソングでも歌ってあげるから。ほら行くよ」

また腕を掴まれ引っ張られて慌てて立ち上がる。ラブソングってどういうことだ、しかも甘ったるいって…。

「どうした晴矢?顔が赤い」

「うっせー!行くならさっさと行くぞ!」



数十分後、何この羞恥プレイ、と俺は後悔することになる。









−−−−−−

あーちゃん、遅くなってごめんなさい!ガゼバンなのに…あれ?ただの日常すぎて。この基緑verとか書きたいとか思ってる…。
ほんと低クオリティつらい^p^こんなのでよかったら受け取ってください!

title by 自慰

20111103