小説 | ナノ


円←ヒロっぽい

自分がおかしいことに気付いたのは最近。円堂くんを見つけると無意識に視線で追ってて、でも円堂くんが目の前にいると心臓がドキドキして顔が熱くなってうまくしゃべれなくなる。他の子にはそんなことないのに。円堂くんだけ。それと円堂くんがマネージャー達と話してるの見ると心がもやもやする。ただ普通に話してるだけなのに笑い合ってる姿を見ると雨が降って星が見れなくなったときみたいに悲しくなる。なんだろうこの気持ち。もしかして俺病気なのかな?

「それはきっと恋だよ」

「…恋?」

「うん、ヒロト君はキャプテンのことが好きなんだよ」

「円堂君が、好き…」

手を胸に当てて目を瞑る。あんまりよくわからなかった。

「よく、わからないよ吹雪君」

「じゃあそのまま円堂君のこと考えてみて」

吹雪君に言われた通り胸に手を当てたまま考えてみる。サッカーしてる円堂君、誰かとしゃべってる円堂君、楽しそうに笑う円堂君、こっちを見て笑う円堂君。
"ヒロト"

ぱっ、と目を見開く。どくりとはやく脈打つ心臓と熱くなっていく身体。横でクスクス笑う声が聞こえた。

「ヒロト君、それが好きってことだよ」

「…え?」

「相手のことを考えるだけでドキドキして何もできなくなる。後はヒロト君次第だよ」

にこり、そんな効果音がつくくらい柔らかな笑みを浮かべる吹雪君に俺はどうしていいかわからなかった。自分次第?何をしたらいいの?俺も円堂君も男だよ?それに"好き"とか"恋"がわからないんだ。

「円堂君のこと考えてどう思った?」

俺の頭の中を覗き込んだかのような質問。とりあえずいらない考えを端っこに寄せて吹雪君の質問に集中する。

「…ぽかぽかした」

「ぽかぽか?」

「うん、心があったかくなって笑顔になれる。でも、」

言葉が続かない。吹雪君が不思議そうに見てるのに、言わなきゃ。こっちを見て笑う円堂君を想像してまた顔が熱くなった。

「円堂君がこっち見て笑う顔を思い浮かべるとおかしくなるんだ」

「おかしくなるって、どんな風に?」

「ぽかぽか、じゃなくてドキドキバクバク死んじゃうんじゃないかって思うくらい。今だって…」

うるさいくらい心臓が鳴って死んじゃいそう。その笑顔で名前なんて呼ばれたら恥ずかしくて本当に死ぬ。

「それが"好き"ってことだよ」

「これが?」

「そう、それが」

吹雪君がその真っ白な手を俺の胸に当てた。そしてまたにこりと笑って、本当だすごくはやいねなんて言った。

恋って病気なんだね



はじめてを知った日



−−−−−−

円ヒロのはずが円←ヒロに。というか吹雪+ヒロトに。勢いだけで書いたから消すかも。ちなみにこの設定では円堂さんもヒロトが好き。


20110905