渇愛



CPとかないよ!






「ねえ、俺のこと好き?」

相手は俺の顔なんか見ずに好きだよ、なんて返す。まあいいけど。その言葉が欲しかっただけだし。
相手はベッドに腰掛けてた俺を押し倒してその上にまたがる。ヤる前から息あがってんじゃん。気持ちわる。どんだけ飢えてんの。
そんなこと面に出さずただ相手が望むまま顔を赤らめ、いかにも緊張してるフリをする。そうしたら相手はもっと興奮したようで急いで俺の服を脱がせて行為を進めた。
なにコイツ俺を純情な青年で何か事情があって仕方なくこんなことしてるとでも思ってる?証拠に痛くないからね、大丈夫だよ、優しくするから。なんて興奮で汗だらけの赤い顔で言うんだもん。俺まだまだお綺麗?ウケるんだけど。
笑いそうになるのをこらえて震えを抑える。それに尚更燃えちゃったのか俯いていた顔を相手の顔の方に向かされて深いキスをかまされた。あ、こいつ口臭い。




「でさー、そいつしつこいしキモイし調子乗って言葉攻めとかしてくるし、始めの優しくするよ宣言どこいったーって感じだったんだ」

この前のセックス話をすると目の前にいる−−友達と言うべきか−−彼はすごく苦い顔をした。

「なんでそんな顔すんの?」

「…その行為に意味はあったのか?」

苦い顔のまま、だけど俺から目を離さずに彼は言葉を続ける。

「お金を貰えれば何でもいいような、そんな空っぽのことをしたって…」

「空っぽなんて言わないいでよ」

「俺は別にお金なんて欲しくない。欲しいなんて言ってない。俺はね、セックスすることに愛を感じるの。あの時、あの空間は相手は俺だけを見て俺だけを感じてくれる。好き、愛してる、そんな言葉をたくさんくれるの。気持ちいいなんて思ったこと無いけど相手が俺を愛してくれるなら痛くても苦しくても耐えれる。」

そう、どれだけ気持ちわるいとか無理とか思うやつでも俺を愛してくれるなら誰でもいい。終わったあとに最悪って思ったやつでも愛してるって言ってくれたらまた同じことを繰り返す。

俺が言い切ると彼は辛そうに顔を歪めながらそうか、と呟いた。
俺は間違ってるの?まさか。
どうして目の前の彼が辛そうにしてるのかが俺にはわからない。ねえ、なんで。

彼が帰ってからもずっと考えてたけど結局わからなかった。




−−−−−−
愛に飢える
そんな子が書きたかった。


20110529

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