五条の息子はストレスフルB
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 おい誰だよ伊地知さんができる人とか言った奴。俺だよ馬鹿、こんな早くフラグ回収されると思わねぇだろ。

「ストォーップ!」

 虎杖が宙の蝿頭を確保する。吉野の目が虎杖の手元を追う。フゥン、見えてそうだな。

「い〜じちさん 逃げたの、二匹だけど?」
「ハァ!! あと一匹! 五条くん、虎杖くんを頼みます!!」

 まって〜と網を持って走り去る伊地知さんに苦笑する。
 だっから俺に頼めばいいだろうに。七海さんといい、伊地知さんといい、俺を子供扱いしてくるもんだからむず痒くて仕方ない。正直蝿頭程度術式で撃てば伊地知さんが走る必要もないンだけど、そこはほら。伊地知さんがあたふたしてンの見たいから仕方ないね。やーむず痒いなァ。

「あ。パンツ奪った」

 青と白のストライプ。
 スマホのシャッターを切る。なんで撮るかって? 悪用するために決まってンだろ。

「持ってかないでー!!!」

 虎杖を追うおっさんを見送り、吉野に近づく。

「吉野順平くん?」
「……誰ですか」
「あっれぇ警戒してる? 虎杖の時はそうでもなかったのに」

 おかしいね。でもこの世の中は大体のことがおかしいから多分誤差の範囲内。

「言い方が胡散臭いんじゃね?」
「あっ虎杖おっかえりー」
「えっはや! もう一周してきたの?!」
「虎杖はほぼ車だから」
「人間だよ」

 虎杖が来るなり態度を軟化させた吉野は、「わざわざあんなことしなくても」と首を傾げる。

「聞くなよ。虎杖はおっさんのパンツが見たかったンだよ。ほら虎杖、頼まれてた写真。使うだろ?」
「見たくないし頼んでないからね?! ってか使うって何に?!」
「えっ、吉野の前で言っていいの? そりゃもうオナ」
「言わせねーよ!?」

 いやぁ虎杖、いい反応するなぁ。俺ァ虎杖みたいな奴を掌で転がすのが好きなんだ。趣味が悪いって? 知ってる

「冗談はさておき。虎杖がおっさんのズボンを脱がせた理由だっけ? それはほら、嫌いな奴には嫌な目に遭ってほしーじゃん? そういうことだよ」
「言い方が全体的に嫌だけど……まぁそういうこと。オマエ、アイツ嫌いだろ」

 平然と言い放つ虎杖に吉野は唖然とした表情を見せる。

「なんで……」
「なんとなく。あっ違った?!」
「違くないけど」
「嫌いな奴にいつまでも家の前いてほしくねーだろ」
「……うん」

 とりあえずアッチいこ。
 導くように指さした虎杖に、吉野はこくんと首肯する。まったくもう、人たらしってヤんなっちゃうね。

「とりあえず俺は伊地知さんの様子でも見にいきますかね」

 手伝うかどうかは別として。





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