虎杖は高専に転入することになった。まだ見ぬ同級生を含めると、4人目の一年生だ。
悟くん曰く、「若人から青春を取り上げようなんて許されないんだよ」らしい。回りくどい言い方だけど、要は虎杖のことを気に入ってしまったのだろう。
悟くんに味覚のことがバレてから、俺の任務はかなり減った。多分悟くんがある程度肩代わりしてくれているのだろう。決して俺のことを見てくれていないわけではないのに、悟くんが他の奴に優しくするたび嫌だなと思ってしまう。
なんだよ俺ァ地雷女かよ。ちょっと優しされると調子乗りやがって自重しろ。
「……五条はさぁ、俺のことちょっと嫌いだよな」
伏黒が全快した頃、顔を合わせた虎杖が言った。痛いところを突かれたと思った。俺の表情に虎杖は責めてるわけじゃなくて! と弁明をする。
「俺から宿儺の気配がする……んだよな? そりゃ警戒もするっていうか……しゃーねぇと思うし。仲間思いのいい奴だと思う。だから俺としては仲良くしてくれると嬉しいっていうか……」
照れくさそうに頬を
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「…………嫉妬してただけだから」
「っへ?」
「だから! オマエが悟くんに構われてるのがうらやましかっただけだから!!! 何オマエ! 俺をそんないい人間みたいな解釈してんじゃねーよ! ごめんねッ俺割と嫌な奴よ?!」
罪悪感にかられ口に出した気持ちに、すとんと腹落ちする。そっか、俺ずっと嫉妬してたんだ。
ほぼ八つ当たりであったことを打ち明けたにもかかわらず、虎杖は安心したようににっこりと笑う。
「なんだ、嫌われてなかったのか! ……よろしく、五条!」
「心鬼広いじゃん……、よろしく」
握手を交わす。なんだ、仲良くするのも案外悪くねぇじゃん?
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記録――2018年7月
西東京市 英集少年院 運動場上空
特級仮想怨霊(名称未定)
その呪胎を非術師数名の目視で確認
緊急事態のため高専一年生3名が派遣され内1名
―――――死亡。
特級の任務を終え、寮に帰って。あれ、なんだか静かだなって。
虎杖が、死んだ? ふぅん、上の仕業? へぇぇぇぇ、なるほどなるほど。そっかァ、よぉく分かった。オーケーオーケー、理解したよ完璧。
「悟くん。俺ちょっと上層部の前で首掻っ切ってくるから後はよろしく
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「ハァァッ!!?? ちょっと待って倫!!!!」
「待てない待たない。め〜〜〜っちゃ今でかいヤツ撃てそうだから撃って撃って撃ちまくって一掃して、奴らの前で盛大に呪いの言葉吐いて首掻っ切って死んでやる!!!!!」
「待って悠仁生きてるからァ!!!」
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