五条の息子はストレスフル
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「やっ倫〜! お疲れサマンサー!」
「悟くんもお疲れサマンサー! お迎えありがと〜!」

 悟くんが車の助手席から顔を覗かせる。運転手はもちろん伊地知さんだ。

「……倫ぅ、オマエほんと僕に似てンね。サングラスも相まって高専時代の僕にそっくり」
「マァジで? 血筋ってすげーな」

 後部座席のドアを開け乗り込むと、先客がいた。

「おっ、センセーの子供のフシグロメグミくんだろ君。悟くんの言葉真似する訳じゃねーけどマジで似てンね。そっくり」
「似てねぇよ。一緒にするな」
「一発で血筋って分かるレベルだけどな」

 でもそーか。センセーと似てるって言われンのは嫌か。ふーん。……定期的に言っていこ。人の嫌がることは程々にやりたい派です。教育の賜物かな? 悟くんより倫理観を持った人間に育ちますようにとかいう願いを倫の一文字に込めた名付け親ども、みってる〜〜? オマエらのお陰でこんなに立派に育ちました!!

 倫理観に欠けた大人が子育てしてンだから育つ子供も当然倫理観に欠けてンのは分かり切った話だんだよなァ。
 なぁにが倫だ笑わせる。

 後ろへと流れゆく景色を何ともなしに見つめる。窓に映る自身の顔に、確かに似てると嘯く。

 絶対に、バレねぇようにしなきゃ。

 自分を抱きしめるように下したての制服を握る。

「……皺になるぞ」

 震える手でも見えたのか。何気ない口調を装うメグミくんにへらりと笑う。

「メグミくんも額、皺になっちゃうぞ
「余計なお世話だ」

 つんとおでこを突いた手がはたき落とされる。心配して損したと溜息を吐くメグミくんに、似てるなぁと思った。





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