捧げもの | ナノ
きっとこれは(ダイゴ/夢/50000hit祝い/星乃様へ)




―私は、彼に恋をしている。


彼を初めて見たのは確か、カナズミシティを訪れた時だった。
私は、ただ普通のトレーナー。このホウエン地方を旅して、今から出会うポケモン達に早く会いたくて。幼い頃からポケモンが好きな私にとって、旅は本当に嬉しいこと。
幼馴染のポケモン、エネコと一緒にカナズミシティを散歩している時に―


「きゃあ!?」


いきなり、曲がり角で人にぶつかった。
その衝動で、私は地面に倒れてしまった。
エネコが急いで、私の所に駆けつけてくれた。
それと同時に、目の前に差し出される男の人の逞しい手に、視線を向けると―…。


「すみません。大丈夫ですか?」
「…っ」


銀色の髪と瞳を持つ、二十代くらいの男性だった。
黒のスーツに、赤いスカーフをモチーフとした服装を身に纏っている。
私は慌てながらも、その手を取った。


「だ…大丈夫です…」
「そうか、よかった。ぶつかってしまい申し訳ない」
「い、いえ…こちらこそ…」


何故だかわからないけれど、その人の顔を見ることが出来ない。
それに少しばかり…いや、絶対に顔、熱い。
私はそのまま、俯いてしまった。
…どうしよう。絶対変な人って思われてるよね…
そんなネガティブな思考の途中に―


「君、名前は?」
「………へ」
「こうやって会ったのも、何かの縁かもしれないし。よかったら君の名前、教えてくれないかい?」


―まさかの、私の名前聞かれた!!!


え、これって現実なのかな?もしかして夢なのかも。
夢か現実かどうか確かめる為、自分の頬を引っ張った。…うん、痛い。
………ということは、現実なんですね!?


「わ、私の名前は…ナマエです」
「ナマエっていうんだね、いい名前だ。僕はダイゴ。よろしく」
「よ…よろしくお願いします…」


ダイゴさんが手を目の前に差し出した。これはきっと握手。私はゆっくりとその手を握った。
大きくて、逞しい手だ。


―"いい名前だ。"その言葉に、少し恥ずかしかったけど、嬉しかった。


「ナマエはポケナビ持ってる?」
「え…はい」
「だったら、登録しよう」
「えっ、いいんですか!?」
「勿論。いいに決まっているよ」


ニコッと微笑むダイゴさんは、本当に綺麗で。
私は、また顔が熱くなるのを感じた。
きっとダイゴさんはモテるんだろうなぁー…。
まさに、容姿端麗。


「じゃあ、これで登録出来たね」
「はい」
「何かあったら、いつでも連絡してね」
「…はいっ!」


ダイゴさんと知り合いになれた。
そのことだけで、何故か私の心は嬉しかった。
それから少し話し合って、私はダイゴさんと別れた。


「ねぇ、エネコ」
「ネー?」
「ダイゴさん…かっこよかったね」
「ネッ!!」


"そうだね!!"と言うように、エネコは元気に返事してくれた。
私は微笑みながら、エネコの頭を撫でた。


―きっとこれが、一目惚れなんだね。


自分の心に、嘘つけないから。
私はダイゴさんに、…恋してるんだ。



*+*+*+



それから私はホウエン地方を回って、色んな人や、ポケモン達に出会った。
実際旅して、わからないことを沢山知れて、嬉しかった。
そして…ダイゴさんに出会えたから。
るんる〜んと鼻歌まじりに、今までのことを思考していると―


「ナマエ…?」
「へっ?」


聞き覚えのある、低く凛とした声。
この声は…


「ダイゴさん!!」


私が想いを寄せている人、ダイゴさんの姿。
久しぶりに会えた、ダイゴさん。
私の心は単純で、会えた瞬間嬉しくなった。
だって、ダイゴさんのこと考えていた時にダイゴさんに会えたんだよ?
こんなに嬉しいことはない。


「お久しぶりです、ダイゴさん!」
「久しぶり、ナマエ」


私が挨拶すると、ダイゴさんは微笑んでくれた。
あぁ、嬉しいな。
本当に、私の心は単純だ。


「ホウエンを旅して楽しかったかい?」
「はい!色んな所へ行って、沢山の人やポケモン達に出会えて…すっごく楽しかったです!!」
「よかったね」
「えへへ」


―本当は、ダイゴさんに出会えたことが一番嬉しいだなんて、私には言えない。


ダイゴさんから見て私は、ただ知り合いのトレーナー。
きっとそれだけでしか、彼は私のことを見ていないだろう。


―そんなの、自分が一番わかっているから。


叶わない恋でも、こうやって話してもいいですか?
複雑な想いをずっと、抱えて。
片思いでも、いいから―…。


「ナマエ」


すると、隣に座っていたダイゴさんが、口を開いた。
その真剣な口調と眼差しに、私は思わずダイゴさんを見つめた。


「はい…?」


おそるおそる、返事する。
すると、ダイゴさんの顔が近づいて―…


ちゅっ


ダイゴさんの唇が、私のそれと重なって。
………へっ?
今、何が起こりました?
"ダイゴさんの唇が、私の唇と重なった"。
……………。


「えぇぇぇぇぇ!!!???」


もはや、混乱状態。
だって…っその…っ。
つまり…


「ナマエ、もしかしてファーストキス?」
「ッッッ!!!///」


えぇ否定できませんよ、それがなんだ!!!
………とそんな風に、言い返せない私。
喋ることすらも出来ない。
顔が熱いのも、赤いのも、自分でわかる。
そんな私を見て、さらに追い打ちをかけるように、ダイゴさんは私にこう言った。


「ナマエ。…好きだよ」



運命なんだ

(えっ…)
(僕は、ナマエに一目惚れしたんだ)

(ダ…ダイゴさん)
(ん?)
(私も―…ダイゴさんが好きです)
(―ッ!!!///)
(ダ、ダイゴさん!?大丈夫ですか!?)



*+*+*+


親愛なる星乃様に捧げます。
改めて、50000hitおめでとうございます!!!
50000hit祝いということで、夢小説を書きました。
初・夢小説!初・ダイゴさん!!
ダイゴさん口調合ってます?;
そして石好きの部分出せなかったのが心残りです…くっorz
星乃様、こんな小説でよかったら、持ち帰って下さいませ…;

(※この小説は、本人様以外お持ち帰り厳禁です※)

(2013/5/22)


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