6 エンジュ大会・後編

『二次審査のトーナメントは、こちらでーす!』

液晶に映し出されたトーナメント表。
私は…

「二回戦でハーリーさんと…」
「どうやらそのようね」

私の目の前には、自信たっぷりの顔で立っているハーリーさん。

「一回戦で負けたらただじゃおかないわよ!」
「そっちこそ!」

一方、シュウとサオリさんは、

「一回戦からシュウ君とね」
「お互い頑張りましょう」

ージッと私を見つめるシュウの視線に、私は気がつかなかった。ー



+*+*+*



『さあ、まずは第一回戦!シュウさんとサオリさんだー!』

一回戦からシュウとサオリさん。
強力な相手同士のバトル。どっちが勝つのか…予想がつかない。
だけど1つだけ言えるのは…すごいバトルが繰り広げられるだろう。

『準備はいいかーい?じゃ、Let's Party!』

ルルアンさんの掛け声で、バトルがスタートした。

「アメモース、Go!」
「出てきて、ラプラス」

シュウはアメモース、サオリさんはラプラスだ。
相性的には、サオリさんの方が有利だ。
ラプラスは水・氷タイプ、アメモースは虫・飛行タイプ。
飛行タイプの持つアメモースに氷タイプは弱い。
だけど…相性だけで、バトルは決まらない。
わからないんだ。

「ラプラス、"れいとうビーム"!」

強烈な氷のビームがラプラスから発射される。

「アメモース、避けるんだ!」

素早くアメモースは"れいとうビーム"を避ける。

『アメモースの美しいりんぷんが宙に舞っています!』

「アメモース、"ぎんいろのかぜ"!」

りんぷんを乗せた風が、ラプラスを襲う。
サオリさんのポイントが減る。

「ラプラス!」
「"めざめるパワー"!」

眩い光の粒を、アメモースは発射する。

「ラプラス、"めざめるパワー"に"れいとうビーム"!」

"れいとうビーム"で光の粒が氷の粒へと変わる。

「いまよ!"あやしいひかり"!」
「なっ!?」

怪しく光る明かりが、アメモースを惑わせる。
すでに混乱状態になってしまった。
シュウのポイントが大幅に減る。

「とどめよ、"ハイドロポンプ"!」

勢いよくラプラスから発射された"ハイドロポンプ"。
そのままアメモースに命中した。
…だがその前に。

「アメモース、"かげぶんしん"!」

混乱しながらも、"かげぶんしん"に成功したアメモース。
そのおかげで混乱もとけた。

「なっ!?」
「とどめの"あやしいかぜ"!」

アメモースの羽から、紫色の風が吹き出され、ラプラスに命中した…

『タイムアーップ!準決勝に進むのは…シュウさんだー!!』

盛大に盛り上がる会場。
そこには僅差でありながらも、勝利を納めたシュウが映っていた。

「よく頑張った、アメモース」
「ありがとう、ラプラス」

お互いパートナーのポケモンを誉める。
控室のテレビを見つめる私は…

「すごい…シュウ…」

自分に勝ったサオリがシュウに敗れた。
シュウは…強くなっている。

「何ボケッとしてるのよ」
「わっ!?」

ドアップのハーリーさんの顔が近づいてきた。
びっ…びっくりしたー…!

「ほら、次アンタでしょ。さっさと行きなさい」
「…わかってまーす!」

いーっとハーリーさんに歯を見せ、会場のステージへと私は走った。



*+*+*+*



一回戦を勝ち進んで。
今は準決勝で、相手はもちろん…

「アンタを負かすから!」
「臨むところかもっ!」

強敵のハーリーさんだ。
絶対に負けないんだから!!

「ゴンベ、ステージ・オン!」
「My cool bad!ノクタス!」

ハーリーさんはノクタスだ。
ゴンベとの相性はまずまず。

『それじゃいくよー!Let's Party!』

バトルの火蓋が落とされた。

「ノクタスちゃん、"タネマシンガン"よ!」

小さなタネがノクタスから繰り出される。

「ゴンベ、かわして"たいあたり"!」

間一髪で攻撃をかわしたゴンベ。
ノクタスに"たいあたり"をするが…

「かわすのよ!」

ノクタスの方が素早く、"たいあたり"がかわされた。
私とハーリーさんのポイントが減っていく。

「ゴンベ、"きあいパンチ"!」
「ノクタスちゃん、"ニードルアーム"!」

ゴンベの拳が光り、ノクタスの腕から棘が痛々しく生える。
しかし"ニードルアーム"の方が力が強く、ゴンベが振り回されてしまった。

「ゴンベ!」
「とどめの"どくばり"攻撃!」

数本の毒の針がゴンベに襲う。

「ゴンベ、"ソーラービーム"!」

ゴンベの口から、眩い光が出現する。
そして、"どくばり"を吹き飛ばした。

「くっ!やるじゃない!」
「さすがハーリーさん、強い…!」

ポイントは…ハーリーさんが少しリードしている。
このままでは…負けてしまう。

「これにかけるかも!ゴンベ、"きあいパンチ"!」
「ノクタスちゃん、"ニードルアーム"!」

それぞれのパンチとアームが、急所に当たる。

「ゴンベ!」
「ノクタス!」
『タイムアーップ!!決勝へ進むのは…ハーリーさんだぁー!!』

会場が盛大に沸く。
そんな中、ハルカはゴンベに近づいた。

「ありがとうゴンベ、よく頑張ったわね」
「ゴ〜ン…」

負けて悲しそうに俯くゴンベ。
ゴンベの頭を撫でて、私は褒めた。

「いいバトルだったわ。次リベンジしましょう!!」
「ゴン!!」

元気に返事をしたゴンベに、私は安心した。

「かーもちゃん、いいバトルだったわよ」
「ハーリーさん、次頑張ってほしいかも!!」
「もっちろん!当たり前かもー!!」



*+*+*+


それからファイナルが始まり、勢いがついたハーリーさんがシュウに勝ち優勝した。
そんな中、私は焦っていた。
(皆はもう4個リボン集めているのに…私だけ3個…)
気分が晴れないまま、ポケモンコンテスト・エンジュ大会が終了した。


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