4 エンジュ大会・前編

それから、一週間が刻々と過ぎていた。
ここはエンジュのポケモンコンテスト会場。
今から、エンジュ大会が始まろうとしていた。


*+*+*+


『さあ始まりました!ポケモンコンテスト・エンジュ大会!司会は私、ルルアンがお送りしまーす!!』

ジョウトのコンテストの司会、ルルアンさん。
綺麗な緑のドレスを着て、コンテストを盛り上げる。
ホウエンのビビアンさん、カントーのリリアンさん、シンオウのモモアンさんに似ている容姿。
姉妹なのかな?
いつも疑問に思う。

「あらーっ!かもちゃん!」

するとバシャーモとゴンベのブラッシングをしている私のところに、ハーリーさんが現れた。
いつものノクタスに似た格好の緑の服。
すぐにわかっちゃう。

「ハーリーさん」
「もうすぐ始まるわね」
「はい」

ジョウトで旅をしてコンテストに出場して、1つわかった事がある。
それは…ハーリーさんが前みたいに私を騙すことが少なくなったこと。
今では正々堂々と勝負している。
勝ったり負けたりの繰り返しで、悪戦苦闘ばかり。
意地悪だけど、人一倍コンテストに真剣な人だ。

「お互いベストを尽くしましょう!」
「負けないかも!」
「ハルカさん、ハーリーさん」

お互い気合を入れているところに、サオリさんとシュウが現れた。

「私達もいることを忘れないでね」
「楽しみにしているよ」

サオリさんはニコニコと答え、シュウはいつものように前髪を掻きあげた。
今回のコンテストは強力なライバルが3人もいる。
こっちだって…負けないんだから!!

「臨むところかも!」

私達の声が控室に響いた。


*+*+*+


『エントリーNo.1 ハーリーさんです!!』

ルルアンの声に会場が盛大に沸く。
そりゃそうだ。
ハーリーさんはホウエンやカントーのグランドフェスティバルでもベスト16に入るぐらい、強いから。
今回のコンテスト…厳しいかも。

「My cool bad!ジュぺッタ!」

ボールからジュぺッタが勢いよく出る。

「"おにび"!」

ジュぺッタの周りに、怪しげな青い炎が出現する。
ジュぺッタをより、怪しく見せている。

「"おにび"に"かみなり"よ!」

すると雷を浴びた鬼火は、ジュぺッタの周りをゆら〜りと宙を舞う。
さらに電撃を浴びたことで、美しく輝いている。

『これはすごい!鬼火が怖くも美しくジュぺッタの周りを回っています!』

ワーッ!と会場が沸く。
ハーリーさん…見せ方がすごく綺麗。
控室にいる人達が備え付けられているテレビに釘付けになる。
それはもちろん、私、シュウ、サオリさんもまじまじと見てしまう。

「綺麗に決めるわね、ハーリーさん」
「磨かれていますね」

二人の顔が、尊敬な眼差しでテレビを見る。
この二人から好評をもらうなんて、ハーリーさんすごすぎかも…
無意識に私は足が震えていた。

「ハルカ?」

はっと顔を上げると。
心配そうに私の顔を見るシュウ。
あれ…シュウって、こんな顔したことあるっけ?

「あっ、えっ」
「大丈夫かい?顔が赤いよ?」
「っ!」

嘘!?私、顔赤いの!?
それと…心配そうに私の顔を見つめてくるシュウの顔が、
悔しいけどなぜか…かっこよく見えてしまう。
…離れない。

「だ、大丈夫かも!ちょ、ちょっと外に行ってくる!」
「えっ?」

慌てるシュウを置いて。
猛ダッシュで控室を出て走った私。
ハアハアと息がある。
体が熱い…
さっき走ったから?
…ううん。
それだけじゃないって、私が一番…気づいてる。

何なの?…このキモチ。


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