30 後悔

ハルカの部屋を出た後、僕は自分の部屋へと戻った。
そしてそのまま…地べたに座り込んでしまった。

「…やってしまった」

本当は君に、告白したかった。
グランドフェスティバルの前で、彼女の調子を崩してしまうのに。
それでも、言いたかった。
だけど先程の自分の口から出た言葉は、「好きな人がいるのかい?」
全然違うじゃないか。
ハルカも驚いていたし。

――でもハルカの答えに、一番驚いた僕がいる。

それは、好きな人が"いる"ということ。
あぁ…聞かなければよかった。
一番思い当たる人物は…サトシ君。
一緒に旅をしていたし、いつの間にか"憧れ"から"恋愛感情"へと変わることは有り得る。
僕の初恋の蕾は、膨らまないままで終わらせたくない。
ちゃんと綺麗な一輪の"恋"という花を咲かせたい。
蕾のままで枯らせたくないんだ。
ハルカの傍に、隣にいたんだ。
叶いそうで叶わない願いを胸の中で想いながら、僕は外に視線を向けた。



*+*+*+



夜風に当たりたいと思い、僕はベランダへ出た。
夜は暗く、だけど月や星が眩い光を出し輝いていて綺麗だった。
僕はハルカに初めて出会った日を思い出した。
カイナシティのプライベートビーチで、コンテストの特訓している君が投げたフリスビーが僕の所に飛んできた。

――君と共通点を持ちたい。

君を見た瞬間、何故か僕の心の中が、そんな感情を抱いていた。
初めてそんな事思った。
そこで初めてハルカと――ましてや初対面の女性にわざと嫌味たらしく話し掛けた。
案の定、ハルカはすぐに僕に食い付いた。
僕の嫌味に反発する君が面白くて、可愛くて。
それから君と関わっていって、もっと君のことが知りたいと感じた。
…そして気付いたんだよ。

――僕はハルカが好きだって。

君の笑顔が見たい。
君の可愛い姿が見たい。
だけど素直じゃない、…素直になれない僕は、いつも嫌味を言うしか接することは出来なかった。
本当は……


「好きだよ、ハルカ…」


こんなにも君が好きで、堪らない。

――僕の呟きは、広大で光輝く夜空にへと消えていった。


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