28 チョウジ大会

『エントリーNo.14 ホウエン・トウカシティ出身のハルカさんです!』

私の名前が呼ばれる。
ステージに立って深呼吸をする。
大丈夫、いける。
2つのボールを高く上げ、今回の主役を出す。

「エネコ、フシギバナ!ステージ・オン!」

今回の予選審査はエネコとフシギバナでいくことにした。
ボールから勢いよく、エネコとフシギバナが出てきた。

「フシギバナ、"はなびらのまい"!」

フシギバナの体から華麗に舞う花びらが出現する。

『エネコの周りを"はなびらのまい"で囲んだぞー!』

不規則に舞う花びらで、エネコが宙に浮く。

「エネコ、"ふぶき"!」

エネコの口からきらきらと光り輝く雪が出現し、舞っていた花びらを凍らせる。
そして…

「フィニッシュよ!フシギバナ、凍った花びらに"はっぱカッタ―"!」
『これはすごい!エネコに当たらずに、凍った花びらを"はっぱカッタ―"で粉砕していきました―!』

細かく砕け散った花びらは、きらきらと光っている。
さらにエネコの"ふぶき"で輝きが増し、辺りを綺麗に魅せる。
よかった、成功した。

「エネコ、フシギバナ、お疲れ様!」

二匹を抱きしめて、思いきり褒めてあげた。
エネコとフシギバナは嬉しそうに笑い合っていた。



*+*+*+



しばらくして、控室に戻ると。

「ハルカ、お疲れ!」

リオがすぐに駆けつけて、私の演技を褒めてくれた。

「ありがとう、リオ!あ―、緊張したかも―…」

ふぅとため息をつく。
久しぶりにコンテストで緊張したかもしれない。
何回もステージに立つけど、やはり緊張する。

「でもすっげ―綺麗だったぜ?一番よかったぞ」

リオはニッと太陽のような笑みでそう言ってくれた。
思わず、

「あ、ありがとう」

少し恥ずかしくなって、顔が赤くなる。
褒められるのは嬉しいけど、あまり慣れないものだ。
人間、褒められるとすぐに調子に乗ってしまうので、少し気をつけた方がいいし。
実際調子に乗って、コンテストであまりいい成績が残せなかった実績があるから。
でもそのおかげで、今の私があるって思えるし。
素直に受け止めて、調子に乗らずに気をつける。
あの失敗から学んだこと。
それをバネにし、私はもっと強くなりたいと思う。
私が頭の中でそう考えているうちに、

『お待たせしました―!決勝トーナメントに進む8人は…この方々です!!』

予選審査の結果発表が始まった。
決勝トーナメントへと駒を進む8人の写真が、液晶に映し出される。
その中に、私とリオが入っていた。
よかった、決勝にいける…

「よっしゃ―!決勝トーナメントにいける!!」

リオは大声を出し手を上に上げ、喜んでいる。
その姿がまるで、サトシみたいで笑えた。
トーナメント表を見ると、私とリオは一番端っこ。
決勝まで勝ち進めば、対決するかもしれない。

「お互いベストを尽くそうぜ!」
「えぇ!」

私達はすでに闘志を燃やしていた。





『さぁついに!チョウジ大会・ファイナル!ファイナルで対決する2人は、ハルカさんとリオさんです!!2人の美しくもパワフルなバトルをご覧ください!!』

ルルアンさんのアナウンスが会場内に広がる。
私とリオは、決勝へ進んだ。
今私、絶好調。…勝てる。
ポケモン達と楽しんで、絶対に勝つ。

『それじゃ―いくよ―!Let's party!』

勝負という名の火蓋が落とされた。

「アゲハント、グレイシア!ステージ・オン!」
「ブラッキー、ウツボット!スタンバイ!」

リオのポケモンはブラッキーとウツボット。
ブラッキーは見たことがあるけれど、ウツボットは初めてだ。
いずれにせよ、強敵であることに変わりはない。

「ブラッキー、グレイシアに"でんこうせっか"!ウツボット、アゲハントに"つるのムチ"!」

先制攻撃を仕掛けてきたリオ。
先に攻撃ができる"でんこうせっか"で、グレイシアは避けきれなかった。

「グレイシア、耐えて!"こおりのつぶて"!」

こっちだって、先制攻撃するんだから!

「アゲハントは"つるのムチ"に"サイコキネシス"!」

グレイシアから出現した氷の粒が、ブラッキーに命中する。
"サイコキネシス"により、ウツボットにへと"つるのムチ"が返され攻撃する。

「ブラッキー、ウツボット!」

リオのポイントが大幅に減少する。
ここは、チャンス!
と、思いきや――

「負けないぜ!ブラッキー、"シャドーボール"!ウツボット、"シャドーボール"に"はっぱカッタ―"!」
「え!?」

漆黒の丸い影の球が、"はっぱカッタ―"により小さな影の粒にへと変化した。
小さな影の粒が、アゲハントとグレイシアの体に命中する。

「アゲハント!グレイシア!」

私のポイントが大幅に減少する。
アゲハントとグレイシアのの体力は、まだ大丈夫そうだ。

『お互い一歩も譲らない対決!目が一ミリも離せません!!』

時間は、一分切った!
ここで逆転するには…大技を決めるしかない!

「アゲハント、"つばめがえし"!グレイシア、"シャドーボール"!」

ものすごい速さで、アゲハントがブラッキーとウツボットへと突き進む。
漆黒の影の球の形が変化し、アゲハントの羽を潜むように紫に怪しく光らせる。

「何!?」
『これはすごい!アゲハントが"シャドーボール"により紫色に怪しく光り、凄まじい勢いで相手に突き進みます!』

「ブラッキー、"めざめるパワー"!ウツボット、"ようかいえき"!」

光の粒と紫色のした毒交じりの液がコラボし、アゲハントにへと攻撃する。

「「いっけ―――!!!」」





『タ―イムアッ―プ!!大接戦を制し、チョウジ大会を優勝したのは……ハルカさんです!!』

ワァ―――ッと盛大に鳴り響く会場。
わずかな僅差で私が勝利した。

「勝っ…た〜…」

あ、危なかった。
予想以上に強かったリオに、安心したのか思わずその場に座ってしまった。

「ハルカ、おめでと」

リオが手を差し伸べてくれたので、私はその手を取った。

「ありがとう」
「グランドフェスティバルでリベンジするからな!」

初めて会った時のように、リオはビシッと効果音が出るように私に指差した。

「リオ、人に指指しちゃいけないかも!」
「なんだよ、ハルカだって俺のこと指してたじゃ―ん!」
「う…;で、でも!いけないものはいけないの!」
「はいはい、了解しましたよー(棒読み)」
「わかってないわね―!?」
「あはは♪」

こうして5つ目、最後のリボンをゲットした私。
グランドフェスティバルに向けて、頑張ろう。


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