25 久しぶりの再会

チョウジ大会まであと三日。
トレーニングばっかりだと自分もポケモン達も疲れると思うから、午前中は休憩している。
もちろん午後から始めるつもり。
その時間で私は気晴らしに散歩している。
この先に"いかりのみずうみ"があるらしい。
珍しい赤いギャラドスがいるらしいけど、凶暴らしいから行かなかった。
暴れられたら怖いしね…;;
その光景を想像してみると、少し身震いがした。

「ハルカじゃん!」
「え?」

突然後ろから声が聞こえた。
しかも、私の名前を言って。
聞き覚えのある声…と思い、後ろを振り返ると。

「よっ!」
「リオ!」

タンバシティで出会ったコーディネーターのリオだ。
少し癖のある茶色の髪に、橙色の瞳を持つ男の子。

「久しぶり!元気にしてた?」
「あぁ、ハルカはいつものように元気そうだな!」
「なによそれ!私が元気すぎるみたいな言い方っ!」
「そのままだろ?」

ハハッと少し馬鹿にしたように笑うリオに、私は少しムカついた。
否定しないのね…(怒)
しばらく顔をしかめると、リオが「そんな顔するなよー!;」と笑いながら手を合わせ謝ってきた。
…まぁ、そこまで怒ってはいないんだけどね。
少し不機嫌そうにしてみただけ。

「大丈夫、そこまで怒ってないから」
「あはは…いやー、ハルカが冗談通じてよかったわー」
「あはは!そうかも!」

フフフッと笑い合う私達。
あっ、そういえば…
私はあることに気がつく。

「リオ、今リボンはいくつ?」
「俺?3つ」
「すごい!もうそんなに集めていたんだ!?」
「俺、今調子いいんだ。ブラッキー達が頑張ってくれてさ」

少し顔を赤くし、照れくさそうに言うリオ。
自信あり気で、だけど努力しているとリオの顔に描かれている。
ちゃんとリオは努力している。
その真剣な瞳を見ればわかる。

「ハルカは?もう5つ集めたのか?」
「まだ4つよ…でも、チョウジ大会で絶対に優勝して5つ目のリボンゲットするんだから!」
「じゃあ俺と一緒だな」
「えっ?」

何が一緒なの?
ポカンとしている私に、リオは強い口調で言った。

「俺もチョウジ大会出場するんだ」
「そうなんだ!じゃあ、リオと勝負できるのね」
「おう!覚悟しとけよ?」

余裕に笑うリオに、私も言い返す。

「こっちの台詞かも!」

私達はお互いに闘志を燃やしていた。



「ハルカ?」

突如、聞き覚えのある低い声が後方から響いた。
何回も聞いている、この声。
いつの間にか私が好きになっていた…この声。
ゆっくりと後ろを振り向くと、

「…シュウ!」

緑色の髪と瞳を持つ彼、シュウ。
するとシュウは、私達の方へと近づいてきた。
そして私の前で止まる。

「どうしてシュウがここにいるの?」
「チョウジでコンテストがあるって聞いたから、ちょっと見に行こうと思ってね。…君がいるとは思わなかったよ」

フッと不敵に笑う彼に、不覚にもかっこいいと思ってしまった。
少し顔が、熱い。
それを見られないように視線を外す。
どれだけ私はあなたのことが好きなんだろう。
自分でも、怖いくらい。
シュウは私のこと、"ライバル"としか見ていないのに。
そう考えると、悲しくなってしまった。
…ダメよ、今はそんなこと考えちゃ。
私の目の前には、今はコンテスト。
最後のリボンをゲットしなくちゃいけないんだから!

「っ、シュウはリボンいくつ集めたの?」
「この通り」

すると彼はジャケットのポケットからリボンケースを取り出し、私に向ける。
そこには、きらりと輝く5つのコンテストリボン。

「さすが…」

集めるのが早いなぁ…と思っていると、

「もしかしてあんた、"ラルースの貴公子"!?」

大きな声で私達の会話を遮った人物が。
あ…そうだった!

「ハルカ…彼は?」

シュウが低い声で私に聞いてくる。
リオがいること、忘れていた…!!

「ごめん、リオ!シュウと話していて…;」
「別に大丈夫だ、気にすんな」

ニッと笑うリオに、安心した。
リオはすごく優しいなと思った。
だって最初に話していた相手が、いきなり知らない人と話し始められたら絶対に驚くのに。
…まぁ、今回私が最初の話相手だから言いわけできないけれど…;
気を取り直して、シュウにリオを紹介することにした。

「彼はリオ。私達と同じコーディネーターよ」
「よろしく!えっと…」
「シュウです。よろしく」
「俺のことはリオって呼んでいいから。シュウって呼んでいいか?」
「えぇ」

二人は少し笑いながら握手した。
だけど突然、二人は真剣な顔つきへと変わった。
その代わり映えに、私はびっくりした。

「シュウも狙っているんだな」
「リオもなんですか。そうですよ」
「絶対に渡さないからな」
「それはこっちの台詞ですよ」
「まぁ、お互い頑張ろうや」
「自分の心配をした方がいいですよ」

そう言って手を離す二人。
なんか、少しピリピリしていない…?
何かに火花を散らしている二人。
…あっ!一つ思いついた!

「もしかして!グランドフェスティバル優勝のこと!?それなら私だって絶対に負けないんだから!!」

ビシッ!と二人に指を指して力強く言う。
二人はポカンと私を見る。
あっ、小さい頃ママが言っていた『人に指を指しちゃいけない』っていうのを今思い出した…
そう思っていると、二人が…

「フフッ…全く君は…」
「アッハッハッ!!ヤバ、ハルカ面白すぎ!!」
「狽ネっ!?」

いきなり笑いだしたではないか。
人が少し心配したというのにッッッ!!

「な、なによ!違うっていうわけ!?」
「ハハ…まぁ、何があっても君には教えないけどね」
「狽ヘっ!?」
「おっ、シュウそれいいなー!俺さんせーい!」
「そういうことにしましょうか」
「じゃあポケモンセンターに行こーぜ!」
「え、ちょ!?ま、待ってほしいかも二人ともー!;」

はぐらかす二人を追って、私達はポケモンセンターへと歩いた。
さっきと違って、シュウとリオは仲よく話していて、私は一人不貞腐れていた。
何回も聞いても、二人は話してくれなかった。


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