21 報告
朝日が眩しい…
パチッと目が覚めた。
ポケモンセンターの部屋のベッドはふかふかして気持ちがいい。
だからいつもはすぐにぐっすり眠れる。
…いつもはね。
今回は例外。
昨日のことがあったから。
「…っ」
思い出すだけで恥ずかしくなる。
顔が赤いのがわかる。
誰もいないとわかっていながら、手で顔を隠した。
昨日一緒にお祭りを回って。
たこ焼きも食べて。
繋いだ手の温かさ。
忘れられない思い出ができた。
特に…手の温もりは今でも覚えている。
シュウの手…温かかった。
私の手より大きかった。
男の人の…手だった。
「〜///しっかりしなくちゃ!!」
温もりを忘れずに、私は顔を洗うためにベッドから出た。
*+*+*+
朝食をいっぱい取って。
次の目的の町・チョウジタウンへ向かう。
その町でコンテストがあるからだ。
けれど…
「今日はコンテストのトレーニングしようかなぁ…」
何故か今日はトレーニングがしたくなった。
でも一番は…
「〜っ!やっぱり電話しようかも!」
ポーチからポケナビを取り出す。
相談したい。
あの子に。
そう意識する前に、すでに番号を押していた。
コール音が鳴り続ける。
『はい?』
「サファイア?私、ハルカ!」
『ハルカ!久しぶりったいね!』
先日仲良くなったポケモントレーナー・サファイアだ。
容姿が似ている私達は、すぐに仲良くなった。
連絡するのは久しぶり。
『どげんしたと?何かあったと?』
「う、うん…相談したいことがあって…」
『あたしでよければ何でも聞くったい!』
「ありがとう」
サファイアの元気な声に微笑む私。
こっちも元気が貰える。
「あ、あのね…?」
『うん?』
「実は…」
私は顔を赤くしながら、昨日の出来事を話した。
*+*+*+
『それは、すごか〜…』
感心したような声のサファイア。
「もうすごくドキドキしちゃって///」
『頑張っているんやね、ハルカ』
優しい口調で話すサファイア。
「サファイアは?最近はどうなの?」
ルビー君はどんな人か気になった。
シュウと少し似ているらしいけど。
すると少し呆れたような声で答えが帰ってきた。
『全然ダメったい。昨日もちょっと言い合いしてしまって…』
「そっか…でも、頑張って!私応援するから」
『ありがとうったい。あたしもハルカ応援するとよ』
フフッと笑う私達。
恋する女の子って感じだ。
バイバイと別れの言葉を言って、電話を切った。
悩み…というか、相談ができてよかった。
大丈夫。
私、負けないから。
本当の意味で手を繋ぎたい。
私の心が叫んでいる。
シュウが、本当に好き。
この思いを確かめて、私はチョウジタウンへと歩き出した。
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