15 修業します!
カナタとサファイアと別れた後。
私は今、タンバシティにいる。
海で囲まれている町で見渡すと青い海がずーっと水平線まで広がっている。
海が好きな私にとって、すごく嬉しい。
なぜこの町にいるかというと、コンテストが開催されるから。
二週間後にタンバ大会が開催される。
そのため、みんなと特訓している。
*+*+*+
「バシャーモ、"スカイアッパー"!ゴンベ、"きあいパンチ"!」
堅そうな岩に攻撃するように指示する。
黒くてでかく、ゴツゴツしている岩。
完全に割れるのは、難しそう…
しかし、そんな心配はいらなかった。
「バッシャ―!」
「ゴーン!」
凄まじい勢いで2匹はいとも簡単に岩を打ち砕いた。
そんな2匹を見て、私は唖然とした。
「す、すごいかも…」
冷や汗を流していると、
「素晴らしい!」
パチパチと拍手の音がする。
慌てて後ろの方を見てみると、上半身裸でしっかりとついた筋肉を持つ男の人が立っていた。
「君のバシャーモの"スカイアッパー"!あんな高い所から驚異のアッパーをくらわすとは!ゴンベの"きあいパンチ"も集中力が高いからこそ大きな打撃をくらわすことができる!」
いきなりバシャーモとゴンベの技の解説をしてきた。
なんなのこの人…?
「あの…あなたは?」
「ハッ!これは失礼した!ワシはシジマ。タンバジムジムリーダーだ」
「ジムリーダー!?」
この町の?私は驚いて口を開けてしまった。
タイプは…言わなくてもわかる。
「格闘タイプの使い手なんですね」
「うむ、そうだ。つい格闘タイプのポケモンや技を見ると、血が騒ぐんだよ」
はっはっはっと豪快に笑うシジマさん。
自身も相当鍛えているんだなぁと感心した。
筋肉のつき方がすごいもん。
「しかし!もっと鍛えたら…技のパワーやキレが良くなりそうだ」
いきなり真剣な顔をして私の目を見つめるシジマさん。
その迫力が、凄まじい。
ちょっとまって、今何て?
――"もっと鍛えたら…技のパワーやキレが良くなりそうだ"――
そう思い返すと、私の体はすでに動いていた。
「シジマさん!」
「ん?なんだ?」
「私を弟子にして下さい!」
「なぬ!?」
いきなり変わった私の態度に、シジマさんは驚いていた。
「私、コーディネーターなんです。パフォーマンスやバトルも、ポケモンを輝かせるのはやっぱり…技を決めることなんだと思うんです。技にキレを良くしたり、パワーをつけたらもっとポケモン達を輝かせれるかなって…。お願いします、私を弟子にして修業させて下さい!!」
私は深く頭を下げた。
沈黙が続く。
やっぱりダメかな…と思った時。
「修業は厳しいぞ」
「えっ…?」
「君がそれでも修行したいならよかろう、弟子にしよう」
「あっ…ありがとうございます!」
私は懸命に頭を下げた。
「君の名前は?」
「ハルカです」
「よし、ハルカ。早速修業だ!行くぞ!」
「はい、師匠!」
私達はジムへと走り出した。
*+*+*+
「ハッ!ハッ!」
「もっと声出せ!力強く!」
「ハイッ!」
道着を着て拳を力強く前に突き出す。
修業を始めて数分なのに、もう汗が出てきた。
師匠の修業はポケモンだけでなく、トレーナー自身も鍛える。
自身を鍛えることで、よりポケモンの気持ちがわかるそうだ。
ポケモンと、以心伝心できるように。
私も、ポケモン達と心を通わせたい。
それをコンテストで生かしたい。
最高のパフォーマンスができるように。
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