14 ガールズトーク

あれから私達はカフェを出て、他愛ない話をして。
自分のことを話したりした。
サファイアは大のポケモンバトル好きらしい。
暇があったら、バトルの特訓をしているらしい。
しかも、

「サファイアもバシャーモを持っているんだ!」
「ハルカもなんやね!」

手持ちのバシャーモをお互い持っていること。
ますます似ている。
頬が緩んでしまう。

「もうすぐ12時やね」
「そうだね。…ん?」

12時?
12時…12時…12時…

「あぁーーーーー!!!」
「ど、どげんしたと!?」

いきなり大声を出した私に驚いているサファイア。

「カナタと会う約束してたんだった!!」
「と、友達ったいか?」
「うん!」

ミナモデパートに12時。
しかし、私達がいるのはミナモデパート。
遅れなくてすむ。

「よかったー。思い出して…」

ほっとため息をつく。
よかったよかった。
忘れていたら、カナタに迷惑かけちゃう。

「サファイアも行こう!」
「えっ、あたしも!?」
「早く早くっ」
「わわっ」

サファイアの腕を強く引っ張る。
私達は急ぎ足で一階へと降りた。



*+*+*+



一階へ降りると、すでにカナタが来ていた。

「カナター!」

私は大きく手を振る。
カナタは私に気付いたようで、すぐに手を振り返してくれた。

「ハルカごめーん!約束の時間に来られなくて…」
「ううん、大丈夫かも」
「あれ、その子…」

カナタは私の後ろにいるサファイアに気づいたらしく、サファイアをまじまじと見た。

「さっき知りあったサファイアよ」
「サファイアったい。よろしくと」

カナタに頭を下げるサファイア。
彼女の亜麻色の髪が揺れる。

「サファイアね、よろしく!私はカナタ。…ってあれ?」

サファイアを見たカナタは、すぐに気づいたらしく。
私達を素早く交互に見て、大声で叫んだ。

「え、えええええーーー!?!?似ている!?ハルカ、あんた双子だったの!?」
「違うわよ。まぁ私達も驚いたけどね」
「ほんとやね」

フフフッと笑う私とサファイアとは反対に、未だに驚いているカナタ。
そりゃそうだろう。
自分の親友に似ている別人がいたら、誰だって驚く。
私達も驚いたし。

「こんなことってあるのね…あっ、ハルカ!あんた直接話したいことって?」

カナタガ思い出したかのように私に聞いてきた。
私はというと…
顔をリンゴのように赤くしてしまった。
サファイアはクスクス笑っているし…

「ちょっ、ハルカどうしたの!?」

カナタはあわあわと慌てている。
恥ずかしい…///

「ハルカ、頑張って言うとね」

ポンッと私の背中を叩いたサファイア。
いや…でもね?

「恥ずかしいもん…///」

改めて"キモチ"に気付いたから。
言うのが恥ずかしい。

「じゃあ何のためにホウエンに帰ってきたと?カナタに直接話を聞いてもらうために帰ったんじゃなかと?」
「そうよ!ハルカ言って!」

2人の顔が近づいてくる。
そんなに責められたらもう…

「わかったかもっ、言います!」

もう羞恥なんて捨ててやる!!
私は勇気を振り絞って、カナタに言った。



*+*+*+



「えええええーーー!?!?」
「ちょっカナタ!声が大きいかも!!///」

場所は変わって、ミナモデパート内のレストラン。
昼時なので、昼食を取ろうと思ってここに移動した。

「ごっ、ごめん…だって、人一倍自分の恋に鈍感なハルカが恋なんてね…」

まじまじと私を見てくるカナタ。

「私だって、シュウに恋してるなんて思わなかったもん…」

最初の印象は最悪で。
あんな奴、絶対に好きになるなんて思わなかった。
人に嫌味ばっかり言ってきて。
いつものように「美しくないね」って余裕に笑って。
あんな奴のどこがいいんだと本気で思った。
ずっと"ライバル"でよかったのに。
なのにこの状況。
"ライバル以上"のことを望んでいる私がいる。
悔しいけど…彼が好きなんだと感じられる。

「ハルカも大人になったわね〜」

嬉しそうに笑いながら運ばれてきたハンバーグを食べるカナタ。

「カナタは恋しとらんと?」

サファイアがカルボナーラを食べながら聞いてきた。

「う―…ん私はポロック作りに力を入れてるからねー。…あっ、ということはサファイアも恋してるんだ♪」
「ぶふっ!」

勘が鋭いカナタはサファイアの心理に気づいたらしく、キラーンと目を輝かせた。
一方サファイアは飲んでいた水を吹き溢してしまった。

「ち、違うと!ただ気になっただけったい!///」
「ふーん?じゃあその赤い顔は何でしょーかね?」

フフッと笑うカナタにうっと言葉が詰まるサファイア。
明らかにカナタの方が一枚上手だ。
2人を見ればわかる。
私は黙々とカレーを食べていた。

「でもよかった。ハルカが元気になって」
「え…」

にこっと笑うカナタを、私は見つめることしかできなかった。

「電話の時より全然元気だし…心配したんだよ?すごく深刻な問題なのかなーって。表情も明るくなったし、よかったよかった」

あははと笑うカナタ。
よく見ると、カナタの目の下にはうっすらとクマができていた。
私のせいで眠れなかったんだ…
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「ありがとう…カナタ」

だから精一杯、お礼を言う。
私は幸せ者だな。
沢山の人に支えられている。
痛いほど感じられた。

「そうやハルカ。電話番号とメアド交換せん?」
「うん、しようサファイア!」

新しい友達もできて。
すごく幸せだ。
私は今一番の笑顔をしているだろう。



*+*+*+



それからミナモデパートで買い物をしたり。
ポロック屋でポロックを作ったり。
他愛無い話をしたりした。
そして…お別れの時間。

「ジョウトでもコンテスト頑張るったい!」
「時々連絡してね」

サファイアとカナタがお別れの言葉を言った。

「うん!また会いましょうね!」

ジョウト行きの船に乗って、2人が見えなくなるまで大きく手を振った。

「バイバーイ!」

私はジョウトヘ帰った。



*+*+*+



「じゃあカナタ、あたしも帰るったい」
「うん、気をつけてね!」
「バイバーイ!」

大きく手を振って、カナタと別れたあたし。
とろろを出そうとした時、

「やっと見つけた」
「うわ!?」

突然後ろから声がした。
しかも耳元で。
その人物は…

「ルビー!なしてここにあんたがいると?」
「オダマキ博士が君が帰ってこないって騒いでいたからね。僕が君を探していたんだ」

そういえば今日どこかに行くかをちゃんと言ってなかった。
捜してもらったルビーに少し申し訳ない気持ちになった。

「うぅ…すまんち」
「もう遅いしね。一緒にミシロに帰ろう?」

あたしの目の前に、ルビーの手が差し出された。
……なにこれ。

「え…」
「さ、行こう」
「わゎ!」

手を繋いで一緒に歩く。
サファイアは少し恥ずかしそうだったが、とても嬉しそうに笑っていた。
ルビーもサファイアの笑顔を見て微かに笑った。


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