13 似て非な私達

「こんなことって…あるんだね」
「そうったいねー」

私と”その子”は、本当はカナタと一緒に行くはずだったカフェにいる。
私が誘ったのだ。
時間は沢山あるし、一人でいるのはなんだか寂しいから。
それに…
亜麻色の髪や髪型、瞳の色、バンダナや服は青色で統一されているけれど。
似ている。
すごく私に似ているのだ。
もうこんなの、すごいとしか言いきれない。

「あっ、私ハルカっていうの。あなたは?」

運ばれてきたミルクティーを飲みながら聞いた。

「サファイアったい。よろしくと」

にかっと笑うサファイア。
…すごく可愛い。
同じ顔とは思えないぐらい。
笑った時に見える八重歯も彼女を輝かせている。

「サファイアって、すっごく可愛い!!」
「ふぇっ!?///」

すると飲んでいたレモンティーを吹き溢してしまったサファイア。
…やばい。
赤面のサファイア、すごくかわいすぎる…!!

「な、ハルカ!お世辞はよして!!///」
「お世辞じゃないかもー!!」

フフッと笑う私に、赤面して俯くサファイア。
出会ってばかりなのに、私達はすぐに仲良くなった。

「でもよかったとよ。笑顔になって」
「え…」

サファイアが突然静かで真剣な声で呟いた。
私はというと、固まってしまった。
笑顔になって…?

「その目…」

サファイアが私の青色の瞳を見つめる。
まるで全てを見透かすように。

「眼が赤く腫れとんけん、泣いとったんやろ?やけんさっき走っとったんじゃなかと?」

サファイアが私を優しく見つめる。
私は…サファイアを見つめ返すしかできなかった。

「なんかあったんなら話した方が楽じゃなかと?…まあ出会ったばかりのあたしじゃな…「聞いてほしいの!!」」

サファイアの言葉を遮った。

「へっ…?」

私はつい席を立ってしまった。
カフェの客の視線を感じてしまったので、すぐに座ったけど…
サファイアも驚いている。

「お願い、聞いてほしいの…っ」
「…あたしでよかと?」
「サファイアに聞いてほしいの!」

サファイアの手を強く握り、視線を合わせる。
真剣な瞳で、サファイアの藍色の瞳を見つめた。
サファイアも真剣に見つめ返してくれた。
すろとサファイアが私の手を握った。

「わかったと。…だけど聞くしかできんとよ?」

それでも大丈夫と?と首をかしげて聞くサファイア。

「いいのっ。ありがとう、サファイア」

私は笑顔で返事した。
サファイアも笑ってくれた。



*+*+*+



私は今まで思ったことを話した。
自分のライバルのシュウについて。
最初は印象が最悪だったこと。
キザでナルシストで嫌味ばっかり言うところ。
だけど、一生懸命コンテストのため努力しているところ。
ポケモンを大事にしているところ。
何故かシュウを見ると、ドキドキと胸が鳴ること。
まるで前のユズリハ大会の時のように。
そして、時々胸が苦しくなること。
全てを話し終えてサファイアを見ると…
彼女の顔は真っ赤になっていた。

「あ、あの…サファイア?」
「ハルカ…あんた」
「はい…?」

なんだか少し、怖い。
何を言われるか、分からないから。

「気づいてなかと?」
「何に…?」

えっ、何に!?
何に気づいてないの!?
サファイアはワタワタする私を無視し、まっすぐ見つめて、一言言った。


「シュウ君っていう男の子に、"恋"してること」


私は、スプーンを床に落としてしまった。

「こここ…恋ぃぃぃぃぃ!?!?」
「そう、恋」

慌てる私と冷静なサファイア。
つい大声を出してしまった。
シュシュシュウに…恋!?
私が!?

「ハルカの話を聞くと、あたしはハルカがシュウ君に恋をしていると思うったい」
「え、でも…」
「人っていうのは、分からんもんったい。最初嫌だった奴をいつの間にか好きになるっていうのは、あると思うち。それに…」

サファイアが私を優しく見つめて、優しい笑顔でこう告げた。

「シュウ君のことを話しているハルカ、輝いといてすっごく可愛か」
「えっ…」

シュウのことを話している私…?

「サファイア…」
「…あたしが言えることじゃなかなんやけどね」
「えっ?」

突然サファイアの顔が暗くなった。
どうしたの、サファイア?

「あたしも好きな人がいるったい」
「え!」

私はビックリしてしまった。
でもすぐに納得した。
可愛い女の子だもん、恋だってするよね。

「ハルカの話を聞いて、驚いたことがあるち」
「?」
「シュウ君とあたしの好きな人…似てるったい」
「えぇ!?」

さらに声を上げてしまった。
周りなんか気にせずに。
サファイアは静かに目を閉じて言った。

「コンテストが好きで、キザでナルシストで、美しいものが好きで。おまけに汚れるのを嫌うし、…まぁ裁縫するっていうところは似てなかやけど。自分のポケモンの毛づくろいしている瞳とか、ポケモン思いなところとか。…そういう奴なんやけど、好きったい」

最後の言葉で顔を赤くするサファイア。
すごく可愛いと思った。
そして思ったことがもう1つ。

「本当…似ているね」
「やろ?」

フフッと私達は笑い合った。
コンテスト好きで、美しいものが好き。
キザでナルシストで、すぐに嫌みを言う。
だけど…人一倍コンテストが好きで、努力を惜しまないところ。
毛づくろいをする優しい瞳。
何もかも、似ている。
つい口元が緩んでしまう。

「サファイアの好きな人の名前は?」
「…ルビーったい」

またまた顔を赤くするサファイアが可愛い。
私…シュウのこと、

「サファイア」
「なんね?」
「私…わかったよ」

あなたのことを考えるだけで、何故か幸せになっちゃう。
なぜかって?
それは…

「シュウのこと、好き」

最高の笑顔を今私はしているだろう。
サファイアも可愛らしく、微笑んでくれた。


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