11 突然の訪問

ボーッ…
汽笛の音がする。
それもそのはず、私は船に乗っているから。
目的地は――…

あの日…ワカナと話した日。
あの日ほど眠れなかった日はない。
おかげで次の日はクマができていた。
うぅ…私、暗いかも。
ハァと溜め息をこぼして。
ポケモンセンターのロビーにいた私は、ポケナビの電話機能を取り出した。
宛先は…


『もしもし?』
「あ、カナタ?私、ハルカ」
『ハルカ!?久しぶりー!元気にしてた?』
「うん、カナタも元気そうかも」

ホウエンを旅していた時に、仲良くなった私のライバルであり親友のカナタ。
夢のホウエン一のポロック屋さんを目指している。
電話番号とメアドを交換して、時々連絡を取り合っている。
私の一番の相談相手でもある。

「私、相談したいことがあって…」
『うん?』

次の言葉を言おうと思うけど、戸惑ってしまう。
…ううん。
頑張って言うんだ!
軽く呼吸をして、勇気を絞って言った。

「ミナモシティに行って話がしたいの!!」
『はぁ!?』

案の定、カナタは大きな声を出す。
そりゃ…そうだよね。
ジョウトにいる私がいきなり"ホウエンのミナモシティに行く"なんて。
ビックリするに決まっている。

『ちょっ、どうしたの?何かあったの!?』

心配そうな声で聞いてくるカナタ。

「直接会って…話がしたいの」

小さくて弱い声だったけど、カナタはちゃんと聞いてくれた。

『…わかったわ。直接会って話を聞く。何でも聞くからドンドンさらけ出しなさい!!』

カナタの強い声がポケナビから響いた。
ありがとう…カナタ。

「うん、今からミナモへ向かうね」
『気をつけてね!』
「わかってるかも」

少し笑い合って、会話を閉じた。



*+*+*+



あと一日でホウエンのミナモへ着く。
明日の10時に、ミナモデパートで待ち合わせ。
デパートの中にあるカフェで話そうと思っている。

「上手く言えるかなぁ…」
ポツリと呟いた私の独り言は、青空の彼方へと消えていった。

―恋の蕾が、膨れだしていた―。


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