お互い依存症(シュウハル)

初めて君と出会ったことは、昨日の出来事のように今でも繊細に思い出せる。
君の姿を見た瞬間、自分の心に今まで感じたことの無い感情が芽生えたことも、思い出せるよ。


カイナシティのプライベートビーチで、パートナーのアゲハントと一緒にコンテストの演技の練習をしている君を見つけた。
その様子を見る限り、美しくない演技だったので、僕は君が新米コーディネーターだと確信した。
そして偶然にも、君がコンテストの演技で使うフリスビーが僕のところに飛んで来て。


―この時僕は、君が投げたフリスビーが僕のところに飛んで来たことに何故か嬉しく感じた。


きっと君の僕への印象は、「最悪な奴」だろう?
初対面の男にいきなり馬鹿にされ、挙げ句に「美しくないね」って言われたら、誰だって嫌になるものだ。
普段の僕だったら、女性、ましてや初対面の方にこんな態度はとらないし「美しくないね」とか言わないよ。
何故そんな行動をしたのかって?
その時の僕にはわからなかったけど、今の僕はこの感情が何なのか気付いているから。
僕は君―ハルカに…


―僕はハルカに一目惚れしたんだ。


例え印象が最悪でも、君に僕のことを知って欲しくて、僕は無意識にあの態度をとったんだ。
案の定、僕はハルカの怒りを買ったので、勿論ハルカは僕のことが気に食わず、ハルカは僕に対抗心を持った。


―僕に興味を持ってくれた。


そのことが本当に、嬉しかった。

カイナ大会で対戦した時は、僕の圧勝だった。
ハルカは今回がデビュー戦だったらしい。
デビュー戦なので、緊張して実力が出なかったかもしれない。
君はもうコーディネーターの一人。
5つリボンを集めグランドフェスティバルに出場し、トップコーディネーターを目指す。
そしたらコンテスト会場で会える。
そう思うと、嬉しい気持ちになって思わず笑ってしまった。

それからハルカに会った時は、僕は勿論あの態度で君に接して。
僕に反発する君が可愛くて。
「好きな子の前だと意地を張る」、「素直になれない」。正しくその通りだよ。
どんどんコーディネーターとして実力が上がっていく君に、少しずつ戸惑いを隠せない僕がいた。
最初の出会いからして、ハルカは僕を"ライバル"としてしか見てない。当たり前だ。僕が初めて会った時の挑発するような態度をとったから。
しかも君は鈍感で、僕の想いに全く気付かない。僕結構わかりやすく行動したつもりだけど。
…だけど。


―必ず僕は、「ハルカのことが好きだ」って伝えるからね。


この想いを伝える勇気、今の僕にはまだ無いけれど、必ず伝えるから。
例えこの想いが実らなくても、僕は諦めないよ?


だって僕は…―ハルカが好きだから。


*+*+*+

初めて貴方と出会ったことは、昨日の出来事のように今でも繊細に思い出せる。

最初の彼の印象は、「キザでムカついて最悪な奴」だった。
カイナシティのプライベートビーチ(後ほどわかったことだが)でコンテストの演技の練習をしていた際、私がフリスビーを受け取れず飛んで行ったフリスビーを取ってくれたのが、彼だった。
「ありがとうございます」とお礼を言おうとする前に、彼は私とアゲハントの演技の評価をしてきた。
彼は、あまりにも初対面の人物とは思えない程ズバンと「美しくないね」と言った。
しかもアゲハントまで侮辱してきて…!
頭の中で、私の堪忍袋がブチンッと切れた音がした。
嫌味を言う彼に言い返しても、彼は嘲笑するだけ。
こんなにも人を馬鹿にする人(しかも初対面)は初めて見た。


―けれど、コンテストの腕は私と比べられない程彼は上で。


初めて彼とコンテストバトルで戦って、格の違いを見せられて惨敗した。
今回のコンテストがデビュー戦だった私は、物凄く悔しくて思わず泣いてしまった。

…だけど。それと同時に、彼―シュウに勝ちたい気持ちが更に強くなった。

「実力が違い過ぎる」、「相手にならない」?そんなの、自分が一番わかっている。
だからこそ、"勝ちたい"って気持ちが強くなるの!!
シュウは私のことを"ライバル"と呼べるような器じゃないと思っていても、私は貴方を"ライバル"として意識する。

それからシュウに会う度に嫌味を言われて、反発して口喧嘩になって。
私が一方的に話しても、なんだかんだ言ってシュウは会話してくれる。
私がハーリーさんに騙されていた時も、真剣に叱ってくれて。


―シュウと会話してる最中、彼は時々綺麗な微笑みを浮かべる。それに少しドキッとする私がいる。


いつも私を嘲笑する時と違う、優しい笑みで。
ユズリハ大会の時は、不覚にもかっこいいと思ってしまい、顔が赤くなってしまった。


―えっ、なに、これ?


今まで感じたことのない感情に、私は戸惑いを隠せない。
私が抱いてたシュウの最初の印象「キザでムカついて最悪な奴」が、少しずつ変わっていくのを感じる。
彼は人一倍コンテストに真剣で、彼のポケモン達への愛情が溢れている。
そんなシュウの姿を見ていく度に、どんどん印象が変わっていく。
そして、「ハルカ」って私を呼ぶシュウの声を思い出すだけで…何故か嬉しい。


―あぁ、そうか。


私はフッと笑みを浮かべ、一人で納得した。
…この感情の名前がわかったから。
なんで早く気付かなかったんだろう。
でも、シュウは私のこと何とも想ってないくらい、わかるわ。
それでも、この想いを伝えたいのはやっぱり貴方―シュウが…


―好きだからなのね。


伝えないより、ちゃんと想いを伝えて、失恋しよう。
そうした方が、きっとスッキリするわ。
でも、やっぱり諦めきれないわ。


だって私は…―シュウが好きだから。


*+*+*+



ねえ、ハルカ。
ねえ、シュウ。



君は僕のこと…
貴方は私のこと…





『「好き?」』





そう小さく、だけど想い人に届くようにポツリと呟いた。





*+*+*+





4/8はシュウハルの日!!
ということで…な、なんとか間に合った!!

ちなみに、テーマは"両片思い"です。
お互い失恋すると思っていても、(僕/私)は諦めないよ。というお話…のつもりです…
あれ、両片思いってこんな感じでいいのでしょうか…!?
どうしよう、自信無くしましたorz
またリベンジします!!(`・ω・´)


ここまで読んで下さり、ありがとうございましたm(__)m

(2013/4/8)






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -