初めて感じたこと(サトリラ)

ホウエン地方を旅回ってホウエンリーグに挑戦し、全力を出し切り俺はベスト8という結果を残した。
それからカントー地方へ帰って、エニシダさんに会って(後にわかったが、バトルフロンティアのオーナーだった)からバトルフロンティアという施設の存在を知った。
カントーの各地にある7つの施設にフロンティアブレーンという、リーダーの人物がそれぞれの施設にいる。
フロンティアブレーンに勝負を挑み、勝利するとフロンティアシンボルという勝利の証―ジムバッチのようなものが貰える。
それを全部―7個集めたら、バトルフロンティア制覇したこととなる。
俺はもっと自分の力を試したくて、もちろんバトルフロンティアに挑戦することを決めた。
ホウエン地方の旅が終わりハルカ達と別れたが、ハルカもカントー地方のコンテストに挑戦するということで、また四人で旅を続けることになった。



*+*+*+



バトルファクトリー、バトルアリーナ、バトルドーム、バトルチューブ、バトルパレスに挑み五回連続で勝利した俺は、絶好調だった。
次のバトル施設・バトルタワーにももちろん勝利するためトレーニングを積み重ねた。
ピカチュウと一緒に緑がたくさん生い茂る森林でランニングをしていた時、突然スピアーに襲われた。
窮地の立場に立たされている俺達の前に、いきなり藤色の髪の人物が現れた。
そしてスピアーを説得して、落ち着かせた。
その人物はなんと、ポケモンの気持ち・言葉が分かり、ポケモンと話すことが出来る素振りをして俺は驚いたと同時にすごいと思った。
俺はポケモン達が何を喋っているのかわからない。
何を伝えようかは考えるけど、明確にはわからないから。
それから湖の前に移動して話し合い、名前はリラだとわかった。
一人称が"ボク"だったし中性的な外見なので男かと思っていただが、リラは女の子だった。
まさか女の子だとは思わなかったのでまた驚いた。
それからリラと別れてバトルタワーへと向かい、今回のフロンティアブレーンはどんな人物なのかワクワクした。


そして扉の向こう側から、なんとリラが現れた。


今日三回目の驚愕した気分に陥った。
さっそくバトルが始まり、絶好調の俺は絶対に勝てる自信があった。
だけど勢いがありすぎて、パートナー達と"心を一つ"にすることが出来ず勝利することが出来なかった。
久しぶりに完敗した。
ポケモンと心で指示するリラに、圧倒された。
だからこそ、勝ちたい気持ちが強まる。
今度こそ、君のようにポケモン達と"心を一つ"にして。
絶対に勝ってみせる。



*+*+*+



次の日、昨日のように朝ポケモン達とランニングしている最中、またスピアーに襲われた。
原因はスピアーの巣の目印である大きな木に、練習として三匹一斉攻撃したからスピアー達が怒ったのだ。
逃げ回る俺達の前に、リラが歩いており、そのままリラまで捲き込んでしまった。
そして昨日話し合った湖に一直線にダイブ。
湖の蘚らしきものが俺達の頭を覆い被さり、お互いがそれを見て思わず笑ってしまった。
あまりの代わり映えだったから。
それから湖で一緒に水遊びをして、フロンティアブレーンとその挑戦者という関係だと忘れるくらい、俺達は楽しく遊んだ。



+*+*+*



"ポケモンの心が分かる"。それは本当にすごいことだ。
"心を無"にすることで、リラは星に木や草、花など色んなものに語り合い、色んな心が分かり出したと言った。
一番大切なのは、"心の扉を解放する"ということ。
俺もリラの心を読んでみたけれど、なかなか上手くいかなかった。


――「その方がサトシらしいよ」って笑顔で言ったリラに、何故だか分かんないけど、胸がドキッと鳴ったことに、少し戸惑いが隠せなかった。



*+*+*+



そして再戦の時が来た。
ポケモン達との絆は昨日以上、いや今まで以上になったと感じる。
ポケモンと"心を一つ"にして、精一杯戦おう。

*+*

バトル中、自分のパートナー達の気持ち…―心が分かり出した。
だけどそれでもリラは強敵だということは変わらない。
一瞬も気を緩めない。
そして激戦の末、俺はリラに勝利した。
今回のフロンティアシンボル、アビリティシンボルをゲットした。



*+*+*+



時間とは経つのが想像よりも早く、とうとうリラと別れの時間がやって来た。
今まで知り合った人達との別れは、"また会える"と思えたから悲しくなかった。


――なのに何でリラと別れるのが、こんなにも悲しいと感じるのが、俺には分からなかった。


それでも俺は…次のバトルフロンティア施設へと行くから別れなければいけない。


――もう少しリラと一緒にいたかった、なんて…。何でそんなこと思うんだろう。


俺の心がそう言っている。


―――『その方がサトシらしいよ』。


リラに言われたその言葉を思い出すと、不思議と心が落ち着いた。
そうだ、会いたくなったら会いに行けばいいんだ。
"また会える"じゃなくて、"会いに行く"。

「サトシ、次のブレーンは強いよ。ボクも応援するからね」
「ありがとう、リラ」

そう会話して握手を交わした俺達。
そしてリラが見えなくなるまで手を振った。
今度会う時は、リラの気持ち―心を読んで見たい。
握手した温もりを忘れず、またリラに会えるその時の未来に希望を抱いて、俺は次のバトルフロンティア施設へと進んだ。







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