雨の日デート(ゴークリ)


今日のデート日和は、梅雨シーズンであってか天気は雨。
しかし、雨―梅雨シーズンだからこそ楽しめるデートスポットがある。
それは…―

「…よっこらしょっと。クリス、濡れてないか?」
「うん、大丈夫よ、ゴールド」

一つの傘に二人で入り、世間で言う"相合い傘"で濡れないように、ゴールドとクリスは歩いていた。
今日のデートスポットは、雨だからこそ、良い場所なのだ。
そう思っている内に…―


「うわぉ…すげーぜ!!」
「本当…!!綺麗ね」


目的地である、デートスポットへと辿り着いた。
そこには、辺りに一面広がる紫陽花があった。
青や紫に濃い薄いピンク色の紫陽花が、数え切れない程咲きほこっていた。
雨のおかげで、紫陽花達は元気をもらってどこか嬉しそうだった。
同じ種類の花でも、一つ一つ違うので、みんな表情が違う。
花だって、植物だから生きているから。

「この青色の紫陽花、綺麗だわ」
「そーか?俺はこの濃いピンク色の紫陽花が好きだな」

人それぞれ好みが違うのは当たり前で、ゴールドとクリスもそれぞれ好みの紫陽花を見つめていた。
それは、とても慈しむ優しい瞳で。


「私ね、紫陽花は好きなんだけど、紫陽花の花言葉は好きじゃないの」
「は?」


突然、クリスが口を開いた。
ゴールドはそれに、疑問を含んだ返事を咄嗟にする。
クリスの視線は相変わらず、紫陽花に向けられてる。

「ゴールドは紫陽花の花言葉、知っている?」
「いや…知らねーな」

そう正直に告げると、「やっぱりね」とクリスは言葉を返す。
その瞳はどこか、寂しそうだった。
ゴールドはその事に、不安を感じるのが自分でわかった。

「なあ」
「何?」

勇気を出して、ゴールドはクリスに聞いてみた。


「紫陽花の花言葉…って何だ?」


ゴールドはクリスの方を向いて、問い掛けた。
ちゃんと、クリスの透き通っているまるで水晶のような瞳を見つめて。
クリスも、ゴールドの金色の瞳を見つめ返して、おもむろにこう言った。


「"冷淡"、"移り気"、"浮気"…色々あるわ」
「……………」


クリスは冷静に、そう告げた。
どの言葉も、良い意味ではない言葉に、ゴールドは黙って聞いていた。
その声色はまるで…―


「…おめぇは本当に、心配性だな」
「えっ?」


ゴールドはそれ以上言わず、クリスを優しく自分の方に引き寄せる。
クリスはすぽりと、簡単にゴールドの腕の中に納まった。

「ゴ、ゴールド?」

クリスはそんな様子のゴールドに問い掛ける。
その声色は、少し焦燥感が含まれているようで。


「いいか、よく聞けクリス。俺はお前以外の女を好きにならねぇ」
「 ! 」
「…俺が他の女を好きになるっつー心配は、もうすんじゃねーぞ」
「っ…ゴールド…」


そう告げられたゴールドの言葉に、クリスは安心したのか、ゴールドの胸で…泣き出した。
それをゴールドは、華奢なクリスの体をギュッと抱き締めた。

「ありが、とう…っ、ゴールド…っ」
「俺もナンパ癖直すぜ。…彼女を泣かせるなんて、俺ホントまだまだだな」
「ううん…」

ゴールドの言葉に、首をふるふると横に振るクリス。
何かを伝えようとしてるクリスを、大丈夫だとゆっくりと待つゴールド。
クリスは少し落ち着いて、ゴールドをちゃんと見つめて、言った。

「私…ゴールドのこと、ちゃんと信じてなかった……だけど…」

そこで一区切りし、笑顔で―


「私もゴールドが好き…。それに嘘なんてないから」
「〜〜〜ッ!!おめぇはよぉ!!!」


クリスの言葉に赤面したゴールドは、クリスの顎を引き上げ、その唇を自分のそれと重ねる。
クリスも、ゴールドのキスを受け入れた。
それは、いつも以上に甘いキス。


「花言葉なんか気にすんな。…好きっつー気持ちは変わんねぇからな」
「…うん!」


二人一緒に傘に入り、話しながら紫陽花畑歩く。
そして、いつも以上の笑顔な二人がいた。





*+*+*+



梅雨シーズンということで思いついたネタ。王道ですよね!!
私は紫陽花好きです。色も花びらも形も、全部好きです。
しかし、紫陽花の花言葉って、恋人とかにはグサッときますね…
ゴールドは「花言葉なんか気にするな」と言うと思ったんです!!そんなゴールドにまた惚れるクリス…という内容かな?満足です(^∇^)


ここまで読んで下さり、ありがとうございましたm(_ _)m



(2013/6/15)








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